【第30回(2018年)介護福祉士国家試験過去問解答・解説】問題19

30-019 介護における自立に向けた支援に関する記述として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 機能回復訓練を中心に介護計画を作成すること
2 他者の支援を受けずに,自らの力で生活できる状態にすること
3 本人の意思よりも,介護者からみた自立を優先すること
4 介護を受けていても社会参加できるように支援すること
5 自分で着衣し終わるまで,何時間でも介護者が見守ること

正解:4

【解説】
自立のためには生活機能がどの程度あるかを知ることが重要です。

生活機能の程度について皆が共通理解できるよう、WHO(世界保健機構)は2001年に、これまでの『国際障害分類(ICIDH;International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps)』を改訂し、『国際生活機能分類(ICF;International Classification of Functioning, Disability and Health)』を採択しました。

ICIDHとICFの違いは次のようにまとめることができます。

・ICIDH:疾病の結果として現れた障害を分類
・ICF:健康状態を「生活機能」とそれに影響を与える「背景因子」に大別し、「生活機能」をさらに「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3つのレベルに分類

1=×:介護においてはリハビリ職などとともに、利用者の機能回復を行うことは重要ですが、介護においての自立とは、障害者の機能回復・治癒という医療的な意味での“自立”ではなく、自己決定できることを『自立』としており1)、その自立を支援することが中心となるため、この選択肢は誤りです。
2=×:選択肢1と同様、介護における『自立』とは他者の支援を受けないことではないため1)、この選択肢は誤りです。
3=×:介護における支援とは、『自立生活運動』1)で唱えられているように、あくまで利用者本人の意思決定を尊重し、自己決定を促すことですので、この選択肢は誤りです。
4=○:ICFの概念にあるように、利用者の自立において「(社会)参加」は重要な要素であり、介護職としては利用者の社会参加を促していくことが支援の一つであるため、この選択肢は正しいです。
5=×:障害を持つ人だからといって、日常生活動作の普通の人以上に時間がかかることを際限なく待つことは、本人の自立を促す支援とはいえません。また、介護における『自立』とは機能回復だけなく、他者の支援を受けながら自己の意思決定を実現することにあるため、この選択肢は誤りです。

参考文献
1)全国自立生活センター協議会(JIL):『自立の理念』
2)厚生労働省:『国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-』(日本語版)
【第30回(2018年)介護福祉士国家試験過去問解答・解説】問題1
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