【第34回(2020年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問35人体「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」

34-035 COPD(慢性閉塞性肺疾患)に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)わが国では、女性に多い。
(2)吸気時に、口すぼめ呼吸がみられる。
(3)樽状胸郭がみられる。
(4)動脈血中の酸素分圧は、上昇する。
(5)病期分類には、肺活量が用いられる。

正解:3

【解説】
1=×:わが国ではCOPD患者は女性より男性に多いため、誤った選択肢です。

COPDの原因の一つに喫煙があります。
日本では女性よりも男性の喫煙者が多いため、COPD患者も男性が多いです。

2=×:COPDでは呼気時に口すぼめ呼吸がみられるため、誤った選択肢です。

COPDは肺の炎症により肺胞が破壊されて、肺の弾力性が低下します。
また炎症により生まれた痰などで気管支が閉塞することもあり、空気を吐き出すのが困難になります。

そのため、COPDでは肺内の空気を効率的に吐き出すために、口をすぼめることで、呼気時に低圧でも空気を吐き出しやすくする症状がみられます。これが「口すぼめ呼吸」です。

呼気か吸気かという点にも注意しましょう

3=○:COPDでは樽状胸郭がみられるため、正しい記述です。

COPDは肺の炎症により、空気を吐き出すのが困難になります。

したがって、空気が肺の中に残るようになり肺が過膨張するため、胸郭が広がってビール樽状となります。これが樽状胸郭(たるじょうきょうかく)です。

4=×:COPDでは動脈血中の酸素分圧は低下するため、誤った選択肢です。

動脈血酸素分圧とは、動脈血中の酸素の量のことです。

COPDでは、肺において酸素と二酸化炭素とを交換する機能が低下するため、動脈血中の酸素濃度が低下します。

血中酸素濃度が低下することでチアノーゼ、ばち指がみられることもあります。

5=×:COPDの病期分類には肺活量ではなく、%1秒量が用いられるため、誤った選択肢です。

COPDは肺機能が低下することで吐き出された空気の量が減ることから、%1秒量などから呼吸器に機能低下がないかを判断します。

%1秒量(%FEV1)とは性別・身長・年齢から予測される1秒量に対する実測した1秒量の比率のことで、は%1秒量が70%未満でCOPDと診断されます。

また、%1秒量(%FEV1)によって病期(気流閉塞の重篤度)が分類され、50~80%でⅡ期(中等度)、30~50%でⅢ気(高度)、30%未満でⅣ期(極めて高度)と区分されます。

参考文献
1)日本呼吸器学会編「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン(第5版)」

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