利用者との関係を構築するためのコミュニケーションの基本として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 聞き手に徹する。
2 声の高低や抑揚を一定に保つ。
3 身振りや手振りは最小限にする。
4 介護福祉職の主観を基準にする。
5 利用者の生活史を尊重する。
正解:5
【解説】
『障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン』(平成29年3月31日)では、下記のような記述があります。
意思決定支援を進めるためには、本人のこれまでの生活環境や生活史、家族関係、人間関係、嗜好等の情報を把握しておくことが必要である。家族も含めた本人のこれまでの生活の全体像を理解することは、本人の意思を推定するための手がかりとなる。
つまり、介護職は、利用者本人のその人らしさ、どのように生きてきたのかという生活の歴史=生活史を尊重することが求められており、これが利用者との関係構築のための基本の一つとなります。
また、老年看護においても、高齢者ケアでの生活史は重要視されています。
1=×:コミュニケーションの技法として、相手の話に共感しながら耳を傾ける『傾聴』は重要ですが、同時に、相手に質問を投げかけることなども、相手を理解し関係構築するためには重要です。
2=×:『バイステックの7原則』においては、援助者は情緒的な関与を統制することがあげられ、介護職が感情的にならないよう指摘されていますが、コミュニケーションの方法として、声の高低や抑揚がない会話は相手からすれば反応がなく見え、信頼関係を構築できるようには受け止められません。利用者の考えを理解していることを伝えるために、抑揚をつけるなどの工夫は重要です。
3=×:『メラビアンの法則』によれば、人間の言葉そのものや話し方と表情が矛盾していた場合、情報の種類別での影響度合いは、言語情報7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%といわれ、見た目からの情報は相手に大きな提供を与えます。
また、言葉以外の身振り・手振りなどの『非言語的コミュニケーション』は、相手にとって理解しやすく、親近感や安心感を与えるとされるため、身振り・手振りを最小限にとどめる必要はありません。
4=×:同ガイドラインにもあるように、利用者の価値基準や判断が、職員等の価値観においては不合理と思われるものでも、他者への権利を侵害しないのであれば、その選択を尊重するよう努める姿勢が介護職などに求められるため、介護職の主観を基準にコミュニケーションを行うことは不適切です。
5=○:正しい記述です。
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