ストップ介護離職!介護をもう辞めたい、転職しようと思った時に効くアイデア

執筆者
松木 信治
松木 信治
戸倉デイサービスゆいっこ所長 (介護福祉士)/ ケアカフェながの代表

祖母の在宅介護をきっかけに介護の仕事の大切さを学ぶ。1998年長野医療生活協同組合の老人保健施設ふるさとの開設スタッフとなり施設から通所ケアまで現場経験を重ねる。その後同生協法人の稲里生協クリニック、長野中央介護センターつるがなどの開設と運営に携わり、ケアマネージャー業務も行う。2012年長野県で初のサービス付高齢者向け住宅「つるがの風」の責任者として6年間勤務。2017年より現職。

介護の仕事を辞めたくなって

介護の仕事が大好きで始めたのに、もう疲れちゃって…。

辛い時は、利用者さんの笑顔をみると癒されてた。でもそれももう限界…。

介護の現場で働くあなた、もしくは、あなたのスタッフは、そんな気持ちになっていませんか?

毎日の排泄介助、認知症の方との対応、体力を使う移乗介助、、心も体もくたくた。

好きで始めた介護の仕事も「もう辞めたい…」となってしまうことも珍しくはありません。

そんな時、介護の魅力を再発見する方法、お教えします!

それもよくある解決法でなく、今すぐ使えるユニークなアイディアを紹介します。

「介護のバカヤロー!」って叫んでみる

介護の仕事に行き詰まり、何もかも嫌になってしまった時。

その思いをそのまま腹の底に押し込んで、我慢してませんか?

介護の悩みは、人間関係、給料、技術や介護感の違いなど様々ですが、“介護疲れ”というのは漠然としたものが多く、そもそも明確な答えがないものが多い。

あれこれいろいろ悩んでも解決策は見つかりません。

そんな時は思いっきり叫んでみましょう

仕事帰りの車の中でも、
自宅のトイレでも、
カラオケルームでも、
誰にも声を聞かれない「安心・安全」な場所を探して、
ただ思いっきり叫ぶ。

なにも考えずに心の鬱憤を吹き飛ばすつもりで、思いっきり声を出して発散してみましょう

叫ぶとスッキリするし、叫んだ後の自分を振り返って「なんかバカみたい」と開きなおり、クスッと笑っちゃうかもしれません。

また、大きな声を出すと交感神経が働き、副腎皮質からストレスに耐性のあるコルチゾールというホルモンが分泌されます。

コルチゾールはエネルギーの燃焼を促進し、張り詰めた精神状態が緩和されるのを助けます。

そしてスッキリしたあと、あなたはこう思うはずです。

「そもそも、自分はなんで介護の仕事に興味を持ったんだっけ?」

人生の不安や困難を取り除くお手伝いがそもそも介護の仕事。
それをまず、あなた自身が体験したのです。

あなたは「人」を支える力があります。

なにしろ、自分自身に降りかかった目の前の不安をとりのぞくことができたのだから。

本気で転職を考えてみる!?

「介護の仕事を辞めたい」と思っているあなた。

辞めたあとどうするのか、考えたことがありますか?

目の前の不安や憤りから逃げたい、その一心でやみくもに「辞めたい」って考えていませんか?

漠然とした逃避目的の「辞めたい」は、あなたを苦しめるだけで何も生み出しません

いっそ、本気で転職を考えてみたらどうでしょうか?

介護の仕事を辞めたあなたにはどんな仕事が合っているのでしょうか?

転職サイトを検索してみても良いし、新聞や雑誌の就職情報を探してみても良いでしょう。

本気で、マジメに仕事探しをしてみましょう。

仕事の内容、給料、勤務時間、勤務地、資格を活かせるかどうか、など条件は様々。

世の中にはありとあらゆる仕事があります。
介護の仕事を辞めるのもあなたの自由、新しい仕事に就くのもあなたの自由です。

不思議なことに「いつでも辞めて良いんだ」と思うと、小さなことが気にならなくなり、意外に元気になるものです。

それでもやっぱり辞めたい、というあなた。
もしいまの仕事より「自分に合っている」と思える仕事が見つかったら、それはそれで素晴らしいことです。あなたにとっての天職かもしれません。

しかし、世の中に楽なだけの仕事はありません。
どんな仕事にも困難はつきまとうし、給料の多い仕事はそれなりにストレスも多い。

介護の仕事はこれからもっと社会に認められて行くでしょう。

ビジネスチャンスがさらに生まれるでしょう。
人のためになる福祉の仕事はあなたの心の充足にもつながるでしょう。

他のたくさんの仕事と比べて見ることで、介護の仕事の新たな魅力を再発見するかもしれません。

ケアカフェに参加してみる

最近はさまざまな分野でカフェ型のイベントが流行っています。

介護業界でもオープンな雰囲気のなかで、参加者が自ら意見を言ったり、お互いの情報や思いを共有する「ケアカフェ」が日本全国で盛んに行われています。

同じ職場、同じ会社や組織の中だけでは、考え方や仕事の中身も限られ、視野が狭くなりがちです。

また、周りの評判や自分の立場が気になり、思ったことを素直に言えないものです。

ケアカフェでは職場や専門を超えてさまざまな人が集まって来ます。

思いもかけないアイデアに出会ったり、自分が悩んでいたことがいとも簡単に解決してしまったりすることもあります。

何より、カフェにいるようなリラックスした雰囲気で介護の話をすることが一番の醍醐味。

心の余裕ができ、自分の思うまま介護の話をすることができます

ケアカフェの輪は急速に全国に広まっています。

首都圏では高瀬比左子さん主宰の『未来をつくるkaigoカフェ』が有名ですね。

ぜひ身近な地域で行われているケアカフェを探して、介護の横の繋がりを自由に共有してみてはいかがでしょうか?

30年単位で考える

将来の計画をたてるとき、あなたの未来は何年後でしょうか?

5年後?10年後?

介護の仕事をする人は、ぜひ30年単位で未来を考えてみて下さい。

30年という単位は社会に大きな変化をもたらします。
30年前、ほとんどの人がまだ携帯電話を持っていなかった。
東京オリンピックがもう一度あるとは思いもしなかった。
ガンは不治の病と思われていた。
30年前、日本には介護保険はありませんでした。

これからの30年も、大きな変化が起きる可能性は十分あります。
あなたがもし20代なら、30年後は50代。
職場や社会でも大きな決定権をもつポジションにいるかもしれません。
介護の世界でその変化を起こすのはあなたかもしれない。
あなたがもし40代、または50代なら、30年後は高齢者です。
介護の当事者、つまり利用者であるかもしれません。

30年単位の未来を考えるということは、つまり、あなた自身の未来のために、今の仕事をどうするか、人生を設計しなおすということです。

アクティブホープ

アメリカの仏教学者で社会学者のジョアンナ・メイシーは、著書『アクティブホープ』の中で、「どんな時にも希望を失わない生き方」を提唱しています。

どんな未来が可能か、と想像することは、先を見通す力を養う確かな方法だ。もしも私たちが「事実」にしか関心がなければ、私たちはすでに起こったことにだけしか目を向けなくなる。それはまるでバックミラーだけを見ながら車を運転するようなものだ。衝突を避けるためには進行方向を見なくてはならないのである

介護の問題を考えるとき、特に高齢者介護の場合は「過去」に目が行きがちです。

元気だった頃の思い出、取り戻したい家族や友人とのつながり、失った健康。

しかし、介護の仕事を専門とする私たちは常に「未来」を考え、行動しなくてはなりません

落ち込んだ人を笑顔にするには?
年をとっても美味しい食事を明日も楽しめるようにするには?
車椅子になっても行きたいところへ旅行して家族と過ごすためには?

介護は、常に一瞬先から始まる「新しい未来」を作るお手伝いを仕事としているのです。

そのためには、まず介護の未来に「実際におきて欲しいことは何か」を明確にする

自分がワクワクして仕事している姿を想像する。
利用者さんが笑顔で「ありがとう」とあなたに伝える場面を「はっきりと、意図的に」イメージする。

そしてそれを毎日実行してみるとよいでしょう。

そうすればあなたは介護の仕事を通して、社会の新しい未来の最前線にいるのだと理解するでしょう。

あなたがいまの仕事に向き合うことは新しい未来の担い手になるのだという意識を持てば、自分の仕事が誇らしく思えてくるはずです。これからの介護は「未来」をみつめる社会の牽引役なのです。

もう辞めたい…という時に!すぐにできるアクションを紹介しました。
介護を志したあなたが一番介護の魅力を知っているはず。
自分に自信を持って、もやもやした思いは吹き飛ばしましょう!


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