【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問127 臨床「クッシング症候群のアセスメント」

35-127 クッシング症候群で低下する検査値である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)血圧
(2)血糖
(3)血清コレステロール
(4)尿中デオキシピリジノリン
(5)骨密度

正解:5

【解説】
<解説>
クッシング症候群は、副腎にできた腫瘍などにより副腎皮質から分布される副甲状腺ホルモンであるコルチゾールの分泌が亢進する疾患です。脂質異常症や中心性肥満・満月様顔貌がみられることも大きな特徴です。

コルチゾールがストレスに対応するホルモンであることを理解しておきましょう。

(1)×:クッシング症候群では、血圧は上昇する。
コルチゾールはアルドステロン様の作用があり血圧を高める働きがあるため、クッシング症候群では、血圧の上昇がみられます。

(2)×:クッシング症候群では、血糖値は上昇する。
急性ストレスで分泌されるコルチゾールは、ストレスに対応しようと糖質・脂質・たんぱく質を分解(異化)して糖新生やエネルギー産生を亢進させます。したがって、クッシング症候群では、高血糖がみられます。

(3)×:クッシング症候群では、血清コレステロール値は上昇する。
コルチゾールはコレステロールを高める働きがあるため、クッシング症候群では、血清コレステロール値の上昇や中心性肥満がみられます

(4)×:クッシング症候群では、尿中デオキシピリジノリン値は上昇する。
デオキシピリジノリンとは、骨に含まれるコラーゲンです。
骨に含まれるデオキシピリジノリンが尿中に多くみられることは、骨吸収(古い骨の破壊)が進んで、尿中に排泄されたことを示唆するため、骨粗鬆症のマーカーとして利用されています。

コルチゾールは、骨形成を抑制する働きがあるため、相対的に骨吸収が優位となり、骨粗鬆症がみられます。したがって、尿中にデオキシピリジノリンが多く排泄されます。

少々難しい問題でしょうか。

(5)○:クッシング症候群では、骨密度は低下する。
コルチゾールが過剰分泌されるクッシング症候群では、コルチゾールによる骨形成を抑制する働きがあるため相対的に骨吸収が優位となり、骨粗鬆症がみられます。したがって、クッシング症候群では、骨密度は低下します。

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