【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問70 基礎「管腔内消化の調節」

35-070 労働衛生の3管理における作業管理である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)胃相とは、食物が胃に入る前に起こる胃液分泌の変化をいう。
(2)消化管運動は、交感神経系により促進される。
(3)ガストリンは、ペプシノーゲンの分泌を抑制する。
(4)コレシストキニンは、膵リパーゼの分泌を促進する。
(5)セクレチンは、胃酸の分泌を促進する。

正解:4

【解説】
(1)×:胃相とは、食物が胃に入る前に起こる胃液分泌の変化をいう。
食物が胃に入る前に起こる胃液分泌の変化は、脳相です。

胃液の分泌は、古典的には脳相・胃相・腸相の3つの仕組み(3相)で調整されていると考えられています。

脳相(頭相):思考、視覚、嗅覚、味覚などの刺激が、迷走神経を介して壁細胞に伝わり、胃酸分泌を促進します。迷走神経は胃のG細胞にも作用してガストリンの分泌を促進します。いわば、消化のはじまりです。
胃相:食物が胃に入った機械的、化学的刺激が胃のG細胞に伝わりし、胃液の分泌が促進されます。いわば、消化そのものです。
腸相:胃で消化をうけた食べ物が十二指腸の入る刺激が、十二指腸にあるS細胞に伝わり、セクレチンの分泌を促進します。セクレチンは、ガストリンと胃酸の分泌を抑制します。いわば、消化のおわりです。

(2)×:消化管運動は、交感神経系により抑制される。
交感神経系は、ストレスなどでの興奮を伝える神経系で、エネルギー消費が優位となるため、エネルギー産生活動である消化管運動は抑制されます。

一方、消化管運動は、リラックスして副交感神経系が優位となって、消化によりエネルギー産生を促進します。

(3)×:ガストリンは、ペプシノーゲンの分泌を促進する。
食物の認識と、胃への侵入により胃のG細胞が刺激されてガストリンが分泌されますが、ガストリンは胃の主細胞に作用して、ペプシノーゲンの分泌を促進させます。

ペプシノーゲンはペプシンの前駆体で、ペプシノーゲンが胃酸により活性化することで、たんぱく質の分解酵素であるペプシンとなります

(4)○:コレシストキニンは、膵リパーゼの分泌を促進する。
コレシストキニンは、胃で消化をうけた食べ物が小腸に入ると、小腸にあるI細胞にから分泌される消化管ホルモンです。

セクレチンと同じように、膵液の分泌を促進しますが、こちらの膵液は消化酵素を多く含む膵リパーゼです。
また、コレシストキニンは、胆嚢を収縮させて胆汁の分泌を促進します。

(5)×:セクレチンは、胃酸の分泌を抑制する。
セクレチンは、胃で消化をうけた食べ物が十二指腸に入ると、十二指腸にあるS細胞から分泌される消化管ホルモンです。

分泌されたセクレチンは、胃のG細胞に作用して、G細胞からの胃酸・ガストリンの分泌を抑制します。
また、胃酸を中和するために重炭酸イオンを含む膵液の分泌を促進します。

同じテーマの問題

【第32回(2018年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問71基礎「消化管ホルモン」【第32回(2018年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問71基礎「消化管ホルモン」
解説内容が良いと思って下さったら、ぜひ下のいいねボタンを押して下さい!いいねを頂けると、解説を書く励みになります。

0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

error: Content is protected !!