【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問71 基礎「糖質の代謝」

35-071 糖質の代謝に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)解糖系は、酸素の供給を必要とする。
(2)赤血球における ATPの産生は、クエン酸回路で行われる。
(3)グルクロン酸経路(ウロン酸経路)は、ATPを産生する。
(4)ペントースリン酸回路は、脂質合成が盛んな組織で活発に働く。
(5)糖質の摂取は、血中遊離脂肪酸値を上昇させる。

正解:4

【解説】
(1)×:解糖系は、酸素の供給を必要としない。
解糖系とは、グルコースからエネルギーであるATPを産生する作用です。
一般にエネルギー産生には酸素を必要としますが、解糖系は酸素がない嫌気的な条件でも、エネルギー産生を行うことができます。

グルコースがピルビン酸まで代謝されますが、その代謝の過程でATPを少量(グルコース1分子に対してATPは2分子)を産生します。

そしてピルビン酸は嫌気的条件では乳酸となりますが、好気的条件ではミトコンドリア内に取り込まれてTCA回路を経由してATPを多く産生します

(2)×:赤血球では ATP の産生は、行われない。
赤血球は全身に酸素を運ぶ機能に特化しているため、核やミトコンドリアを持っていません。
ミトコンドリアがないため、赤血球はATPを産生しません

(3)×:グルクロン酸経路(ウロン酸経路)は、グルクロン酸を産生する。
グルクロン酸経路とは、解糖系の側路(サブルート)の1つで、グルクロン酸を産生することが目的です。

解糖系でグルコースがグルコース6-リン酸に代謝されると、その一部がグリコーゲンホスホリラーゼの作用でグルコース 1-リン酸となり、UDP-グルコースを経て、グルクロン酸となります。

このグルクロン酸は、肝臓でのグルクロン酸抱合に利用されます。

(4)○:ペントースリン酸回路は、脂質合成が盛んな組織で活発に働く。
ペントースリン酸回路は、解糖系の側路(サブルート)の1つで、細胞のDNA合成に必要なリボースと、脂肪酸の合成に必要なNADPHを合成することが目的です。

解糖系でグルコースがグルコース6-リン酸に代謝されると、その一部がペントースリン酸回路に入り、リボースとNADPHを合成します。

したがって、ペントースリン酸回路は、細胞分裂や脂肪合成が活発な箇所で働きます。

(5)×:糖質の摂取は、血中遊離脂肪酸値を低下させる。
糖質は肝臓で脂肪酸へと変換され、脂肪組織でエネルギー源として蓄積されます。

脂肪酸はエネルギー不足の場合に、血中へ遊離脂肪酸となって放出され全身のエネルギー源として活用されますが、糖質(グルコース)が摂取されれば糖質をエネルギー源とするため、脂肪酸が血中遊離脂肪酸となって放出される必要がなくなるため、血中遊離脂肪酸値が低下します。

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