【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問87 応用「日本人の食事摂取基準における小児」

35-087 日本人の食事摂取基準(2020 年版)における小児に関する記述である。 最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)1~2歳児の参照体重は、国民健康・栄養調査の中央値である。
(2)3歳児の基礎代謝基準値は、1歳児より大きい。
(3)1~5歳児の身体活動レベル(PAL)は、1区分である。
(4)小児(1~17 歳)の脂質の DG(%エネルギー)は、成人(18歳以上)より高い。
(5)3~5歳児のビタミンA のULには、性差はない。

正解:3

【解説】
(1)×:1~2歳児の参照体重は、小児系学会の標準値である。
乳児・小児については、日本小児内分泌学会・日本成長学会合同標準値委員会による小児の体格評価に用いる身長、体重の標準値を参照体位としています。

(2)×:3歳児の基礎代謝基準値は、1歳児より小さい。
基礎代謝は運動によるエネルギー消費だけでなく、細胞の産生によって高まることが知られており、細胞の産生は赤ちゃんで活発で、高齢者で低下します。したがって、基礎代謝量は年齢によって低下します。

(3)○:1~5歳児の身体活動レベル(PAL)は、1区分である。
身体活動レベル(PAL)は、推定エネルギー必要量を求めるために、日常生活の平均的な活動の強度を「低い」「ふつう」「高い」の3区分に分けて表現したものです。

推定エネルギー必要量=基礎代謝基準値(kcal/kg 体重/日)×参照体重(kg)×身体活動レベル

座ってばかりの生活の人と、スポーツが好きな人では身体活動量は異なるため、身体活動レベルも人によって異なります。
しかし、1~5歳児の身体活動には個人差はほとんどないと考えらえるため、身体活動レベル(PAL)は、1区分となっています。

(4)×:小児(1~17 歳)の脂質の DG(%エネルギー)は、成人(18歳以上)と同じである。
わが国の小児の飽和脂肪酸摂取量は、欧米諸国の小児と比較して現状でも低いため、3歳以上の小児でも、成人と同様に日本人が現在摂取している飽和脂肪酸量を測定し、その中央値をDG(目標量)の上限としています。

したがって、脂質のDG(目標量)は、男女とも1歳以上は20~30%Eで共通となっています。

(5)×:3~5歳児のビタミンA のULには、性差がある。
ビタミンAのUL(耐容上限量)は、体重差に応じて設定されています
3~5歳時は男児よりも女児の方が体重が重いため、ビタミンAのULは男女によって異なります。


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