【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問88 応用「成長・発達」

35-088 成長・発達に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)成長とは、各組織が機能的に成熟する過程をいう。
(2)血中 IgG 濃度は、生後3~6か月頃に最低値になる。
(3)咀嚼機能は、1歳までに完成する。
(4)運動機能の発達では、微細運動が粗大運動に先行する。
(5)頭囲と胸囲が同じになるのは、3歳頃である。

正解:2

【解説】
(1)×:成長とは、生体の量が増加する過程をいう。
一方、各組織が機能的に成熟する過程は、発達といいます。

簡単にいえば、成長・発育は身体が大きくなることで、発達は機能が完成していくことです。

(2)○:血中 IgG 濃度は、生後3~6か月頃に最低値になる。
免疫グロブリンは、免疫によって感染から身を守る働きがあり、5つの種類が知られています。

感染免疫の中心的な役割を果たすIgGは、胎児のうちは母体から胎盤を通過して供給されるため、胎児や生後1~2か月は母親由来のIgGによって感染から守られます

しかし、IgGの産生には時間がかかるため、母体からの供給が途絶えた生後3~6か月頃に最低値となります。

なお、感染に対してはじめにはたらく免疫グロブリンは、IgMです。
IgMのMは“まずはじめにのM”と覚えましょう。

(3)×:咀嚼機能は、2~3歳までに完成する。
咀嚼(食べ物をかむこと)は、新生児の歯がない状態から乳歯が生えそろうまで成長しないと完成とはいえません

例えば、歯が生えても奥歯が生えそろわないと噛み合わせができませんし、噛む力も未熟です。
したがって、歯が生える時期=咀嚼機能の完成時期ではありません。これから噛み始めるため、むしろ咀嚼機能の発達時期に当たります。

同様に、『授乳・離乳の支援ガイド(2019年版)』では、離乳の完了時期は1~1歳半(12~18か月)としていますが、離乳=咀嚼機能の完成ではないことにも注意しましょう。

歯が生えそろうのは平均2.6歳で、概ね3歳で20本の乳歯が生えそろい、その時期までに咀嚼機能が発達して、咀嚼機能の完成となります。

(4)×:運動機能の発達では、粗大運動が微細運動に先行する。
微細運動とは、手や指を使って絵を描いたり箸を使ったりボールを投げたりするような、細かな運動をいいます。手指の器用さ、巧緻性と考えてよいでしょう。

一方、粗大運動とは、走ったり寝返りを打ったりと全身を使うような、大きな運動をいいます。

表現が難しいですが、要は細かな運動は、大きな運動のどちらが先にできるようになるかということです。
粗大運動はある種動物的な行動で、生命に直接かかわるため、ヒトにおいても粗大運動の発達が先行します。

(5)×:頭囲と胸囲が同じになるのは、1歳頃である。
新生児は、身体よりも頭が大きく生まれてきます。その後、身体が成長して1歳で頭位と胸囲が等しくなり、以後、胸囲の方が頭位より大きくなり、成人に近い体形となります。


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