【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問86 応用「日本人の食事摂取基準での栄養素の基準」

35-086 日本人の食事摂取基準(2020 年版)における栄養素の基準の設定に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)たんぱく質のDGの下限は、全ての年齢区分で同じである。
(2)総脂質のDGの上限の設定には、飽和脂肪酸のDGが考慮されている。
(3)ビタミンDのAIの設定には、紫外線曝露の影響が考慮されていない。
(4)ビタミンB1のEARは、要因加算法で算定されている。
(5)葉酸のEARは、食事性葉酸(ポリグルタミン酸型)で設定されている。

正解:2

【解説】
(1)×:たんぱく質のDGの下限は、年齢区分によって異なる。
たんぱく質は筋たんぱくを作るうえで不可欠な栄養ですが、筋たんぱく質の合成に必要なたんぱく質摂取量は、年齢に応じて異なることが知られています。

具体的に言えば、高齢者のほうが若年者や中年よりも、筋たんぱくの合成に多くのたんぱく質摂取を必要とします。

したがって、たんぱく質摂取不足とならないよう、DG(目標量)の下限は年齢によって異なり、中年以下では13%Eですが、高齢者は15%Eとなっています。

高齢者における高たんぱく質摂取の推奨(=フレイル予防)というのは、日本人の食事摂取基準2020年版の大きな改訂点ですので、必ず覚えましょう。

(2)○:総脂質のDGの上限の設定には、飽和脂肪酸のDGが考慮されている。
脂質の目標量を設定する主な目的は、飽和脂肪酸の過剰摂取を介して発症する生活習慣病を予防することにあります。

したがって、脂質の摂取量の上限は、飽和脂肪酸の目標量の上限を考慮して設定されています。

(3)×:ビタミンDのAIの設定には、紫外線曝露の影響が考慮されている。
ビタミンDの主な役割は、骨形成と遺伝子発現です。

ビタミンDは食物摂取だけでなく、紫外線下で皮膚において産生されます。
外に出る=紫外線を浴びる→運動の必要性が高まる=骨形成が促進される、というメカニズムです。

したがって、日本人の食事摂取基準においてもビタミンDのAI(目安量)は紫外線の影響が考慮されています。

(4)×:ビタミンB1のEARは、出納法とで算定されている。
出納法とは、体に入った量と出た量を調べて、維持量を計算する方法です。

EAR(推定平均必要量)は、ある一部の人の必要量を実験によって明らかにし、集団の必要量の平均を推定しています。

推定平均必要量の主な求め方は、生体指標を用いる方法(血液や尿、酵素活性などの代替指標も含む)、出納法、要因加算法(要因として、例えば蓄積に必要な量や排泄される量などを足していく方法)があります。

ビタミンB1尿中に排泄されやすいため、出納法が用いられています。

なお、要因加算法を用いて算定されている栄養素は、カルシウム・亜鉛(日本人で出納試験を実施していない)、鉄(低摂取量でも平衡状態が維持されるため、計算できない)などがあります。

(5)×:葉酸のEARは、狭義の葉酸(人為的に合成されたもの)で設定されている。
葉酸は、自然界においては稀にしか存在せず、人が摂取するものは、サプリメントや葉酸の強化食品など、食品以外の食品に含まれるものに限られています。日本人の食事摂取基準では、これを「狭義の葉酸」(人為的に合成されたもの)としています。

一方、食事性葉酸(ポリグルタミン酸型)とは、葉酸の誘導体として存在しているポリグルタミン酸をいいます。

栄養素量を算出するために用いられる食品成分表も、この「狭義の葉酸」に基づいて重量を記載しているため、日本人の食事摂取基準2020年版の葉酸の摂取量は、食事性葉酸(ポリグルタミン酸型)ではなく、狭義の葉酸で設定されています。


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