【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問92 応用「更年期の女性の生理的変化」

35-092 更年期の女性の生理的変化に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)インスリン感受性は、上昇する。
(2)骨密度は、増加する。
(3)血中HDLコレステロール値は、上昇する。
(4)血中エストロゲン値は、上昇する。
(5)血中卵胞刺激ホルモン(FSH)値は、上昇する。

正解:5

【解説】
(1)×:インスリン感受性は、低下する。
更年期とは、閉経前後の10年間をいいます。
更年期の女性ではエストロゲン分泌が低下しますが、エストロゲンにはインスリンの感受性を高める作用もあるため、エストロゲン分泌が低下する更年期の女性では、インスリン感受性は低下します。

また、更年期では代謝が低下して脂肪が蓄積しやすくなりますが、脂肪細胞からはインスリン抵抗性をもつアディポサイトカインが分泌されるため、インスリン抵抗性も高まります

(2)×:骨密度は、低下する。
更年期の女性ではエストロゲン分泌が低下しますが、エストロゲンは骨芽細胞の働きを促進するため、エストロゲンの低下により、骨密度は低下します。これが更年期女性における骨粗鬆症の病態です。

(3)×:血中HDLコレステロール値は、低下する。
更年期の女性では代謝が低下するため、血中のLDLコレステロール値やトリグリセリド値は上昇し、LDLコレステロールを回収する血中HDLコレステロール値も低下します

(4)×:血中エストロゲン値は、低下する。
更年期の女性ではエストロゲン分泌が低下します。
エストロゲン分泌の低下が更年期女性の中心的な病態生理です。

卵巣で産生される卵胞が成熟すると、エストロゲン(女性ホルモン)を分泌します。
その後成熟した卵胞は破れて卵子を放出した後、破れた卵胞はそのまま黄体となり、プロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌します。

(5)○:血中卵胞刺激ホルモン(FSH)値は、上昇する。
更年期の女性ではエストロゲン分泌が低下するため、エストロゲン分泌を増加させようと、卵胞産生を刺激する卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌が増加します。
したがって、更年期女性では、血中卵胞刺激ホルモン(FSH)値は、上昇します。

なお、分泌量が低下していることを感知して、分泌量を増加させようと産生・分泌の上流へと情報が伝わることポジティブフィードバックといいます。


解説内容が良いと思って下さったら、ぜひ下のいいねボタンを押して下さい!いいねを頂けると、解説を書く励みになります。

0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

error: Content is protected !!