【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問29 人体「循環器系の構造・機能」

35-029 循環器系に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)心臓血管中枢は、小脳にある。
(2)三尖弁は、左心房と左心室の間にある。
(3)洞房結節は、左心房にある。
(4)静脈の容量は、動脈の容量より大きい。
(5)心電図の QRS 波は、心房の興奮を示す。

正解:4

【解説】
(1)×:心臓血管中枢は、延髄にある。
心臓の拍動は自動的であるものの、その拍動は交感神経や副交感神経から成る心臓神経によって調整されています

その心臓神経(心臓血管)の中枢は、延髄にあります。

(2)×:三尖弁(さんせんべん)は、右心房と右心室の間にある。
心臓は動脈と静脈が行き来しますが、これらの血流が逆流しないよう、心室や心房の間には弁が備わっています

左心房と左心室の間にあるのは、僧帽弁です。

author:Wapcaplet and Yaddah (translated by Hatsukari715)

(3)×:洞房結節は、右心房にある。
洞房結節とは、心臓を収縮させる電気信号を発生させる働きをもちます。いわば、心臓のペースメーカです。

この洞房結節は、心臓の右心房にあります。

(4)○:静脈の容量は、動脈の容量より大きい。
同じ血管でも静脈と動脈では働きも構造も異なります。

動脈は心臓から全身へと血液を運ぶために、血圧が高く血流にも勢いがあります

したがって、動脈血管はその勢いをうけとめるために平滑筋や弾力線維が厚く存在し、弾力があります

また、血流の勢いを保つためには、動脈の血管は細い方が血圧を維持できます。つまり、動脈は中の管が細くて、血管自体に弾力があるものとなっています。

一方、静脈は全身から心臓へと戻ってくる血液を運びます。全身(末梢)へと届いた血液は、後からくる動脈に押される形で心臓に戻るため、血流の勢いは動脈ほどありません

したがって、静脈血管は血流の勢いを受け止めるための平滑筋や弾力線維をそれほど必要とせず、平滑筋や弾力線維が薄いため、静脈の血管は太くなり、その容量は動脈よりも大きくなります

(5)×:心電図の QRS 波は、心室の興奮を示す。
心電図は、主にP波・QRS波・T波で構成されます。

P波は心房の興奮(脱分極)、QRS波は心室の興奮(脱分極)、T波は心室の興奮からの回復(再分極)を示します。


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