【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問54 食べ物「ウイルス性食中毒」

35-054 ノロウイルスとそれによる食中毒に関する記述である。 最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)数十から数百個のウイルス量で感染する。
(2)食中毒が多く発生する時期は、夏季である。
(3)ヒトからヒトへ感染しない。
(4)食中毒の予防には、75℃ 1分間の加熱が推奨されている。
(5)主に二枚貝の貝柱に濃縮される。

正解:1

【解説】
(1)○:ノロウイルスは、数十から数百個のウイルス量で感染する。
ノロウイルスは感染力が非常に強く、10~100個ほどの量で感染が成立します。

(2)×:ノロウイルスによる食中毒が多く発生する時期は、冬季である。
ノロウイルスは低温・低湿度な環境下では感染力を高めるため、冬に多く発生します。
また、ノロウイルスは牡蠣による感染が有名で、牡蠣は冬季が旬ですから、やはり冬がノロウイルスの発生が多くなります。

(3)×:ノロウイルスは、ヒトからヒトへ感染する。
ノロウイルス感染症では、嘔吐を生じますが、嘔吐の吐しゃ物にはノロウイルスが含まれているため、吐しゃ物の飛沫によって感染します。

また、ノロウイルスはごく少量のウイルス量で感染するため、ノロウイルスが付着した手やドアノブなどからの感染がみられます。

(4)×:ノロウイルスによる食中毒の予防には、85℃1分半以上の加熱が推奨されている。
ノロウイルスは通常の食中毒よりも熱に強い性質があります。

したがって、『大量調理施設衛生管理マニュアル』においても、加熱調理食品における加熱温度は、中心部が85~90℃90秒以上まで加熱されていることとされています。

また、ノロウイルスは次亜塩素酸ナトリウム(いわゆるハイター)に弱いので、消毒に用いられます。

(5)×:主に二枚貝の内臓(中腸腺)に濃縮される。
この問題はひっかけ問題のようですね。

ノロウイルスは牡蠣などの二枚貝に濃縮されますが、濃縮されるのは、貝柱ではありません。
二枚貝はノロウイルスに汚染された水を体内に取り込んでいますので、内臓で濃縮されます。
貝柱は貝の筋肉ですので、消化器官とは無関係です。

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