35-047 食品中の水に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)純水の水分活性は、100である。
(2)結合水は、食品成分と共有結合を形成している。
(3)塩蔵では、結合水の量を減らすことで保存性を高める。
(4)中間水分食品は、生鮮食品と比較して非酵素的褐変が抑制される。
(5)水分活性が極めて低い場合には、脂質の酸化が促進される。
正解:5
【解説】
(1)×:純水の水分活性は、1である。
純水とは、ほかの成分と結合していない自由水で100%が構成されている水です。
自由水は微生物の繁殖に使われる水のため、自由水が多ければ微生物は繁殖しやすいです。
水分活性とは、自由水を含む割合を示すもので、食品の蒸気圧÷純水の蒸気圧で求められ、0~1の範囲となります。
(2)×:結合水は、食品成分と水素結合を形成している。
水素結合は、水素による結合をいい、水素は原子が他の物質より小さいため、共有結合にかかわらない電子対に引き寄せられて、極度に接近することができます。
つまり、水素では、電子を共有しなくても、電子に引き寄せられる形での結合を形成します。
したがって、結合水は、食品成分と電子を共有する形ではなく、電子に引き寄せられる水素結合を形成しています。
(3)×:塩蔵では、結合水の量を増やすことで保存性を高める。
塩蔵(塩漬け)は、塩を入れて水分と結合させることで、微生物の増殖に利用される自由水を減らして保存性を高める方法です。
(4)×:中間水分食品は、生鮮食品と比較して非酵素的褐変が促進される。
中間水分食品とは、水分活性が中間(0.65~0.85)である食品です。
非酵素的褐変は、水分活性が中間(0.65~0.85)の場合に、最も発生しやすくなります。
なお、生鮮食品の水分活性は0.9以上です。
(5)○:水分活性が極めて低い場合には、脂質の酸化が促進される。
食品の水分活性が極めて低い(0.3未満)=自由水が少なければ、食品中の脂質が酸素にさらされる割合が高くなるため、脂質は酸化しやすくなります。
一方、水分活性が0.3以上では、水分が多いほうが脂質と酸素が動きやすく結合しやすいため、脂質の酸化は促進されます。
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