【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問124 臨床「心不全の栄養管理」

35-124 慢性心不全に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)重症度評価には、ボルマン(Borrmann)分類が用いられる。
(2)脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は、重症化とともに低下する。
(3)進行すると、悪液質となる。
(4)エネルギー摂取量は、40kcal/kg 標準体重/日とする。
(5)水分摂取量は、50mL/kg 標準体重/日とする。

正解:3

【解説】
(1)×:重症度評価には、NYHA分類が用いられる。
心不全では、身体活動の労作によって生じる自覚症状を4つのタイプに区分するNYHA(ナイハ、ニーハ)分類によって、重症度を判定します。

ボルマン(Borrmann)分類とは、がん細胞の進行度を肉眼的に評価するものです。

(2)×:脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は、重症化とともに増加する。
脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は、心臓(心室)から分泌されるホルモンで、利尿作用、血管収縮作用など、血圧を低下させるはたらきがあります。

心不全では、心臓の負担を軽減するため、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の分泌が増加します。

(3)○:進行すると、悪液質となる。
悪液質(カヘキシー)とは、エネルギーやたんぱく質の消費量に対して摂取量が不足することで生じる栄養障害です。
通常の体重減少と異なり、除脂肪体重とりわけ骨格筋の減少を特徴としています。

末期心不全においてもさまざまな原因により悪液質を生じ、心臓悪液質として知られています。

(4)×:エネルギー摂取量は、控えめとする。
エネルギー摂取量を増やすことで肥満をまねくおそれがあり、肥満は血液循環の負荷となるため、心不全では、心臓に負荷がかからないよう、基本的にはエネルギー摂取を控えめにすることが大切です。

現時点では日本心不全学会などから目標エネルギー摂取量についての根拠のある数値は発表されていません(日本心不全学会『心不全患者における栄養評価・管理に関するステートメント2018年』)。

(5)×:水分摂取量は、30~40mL/kg 標準体重/日を目安とする。
心不全において、水分制限および積極的摂取についての明確な数値目標は示されていません。
また、過剰な体液の増加は心臓の負担を高めるため、水分を必要以上に摂らないことも重要です。

したがって、心不全では一般的な水分摂取量である30~40mL/kg 標準体重/日を目安に、患者の状態に応じて調整します。

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