【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問24 人体「臨床検査」

35-024 臨床検査に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)C反応性たんぱく質(CRP)の血中濃度は、炎症があると低下する。
(2)血中尿素窒素は、たんぱく質の異化亢進で減少する。
(3)胆道が閉塞すると、血中で間接ビリルビンが優位に増加する。
(4)臓器移植では、ヒト白血球型抗原(HLA)の適合を判定する。
(5)75g経口ブドウ糖負荷試験は、糖尿病網膜症の有無を判断するために行う。

正解:4

【解説】
(1)×:C反応性たんぱく質(CRP)の血中濃度は、炎症があると一般的には増加する。
CRPは、炎症時に炎症性サイトカインから刺激をうけた肝臓や脂肪細胞から分泌されるたんぱく質です。

CRP高値は、炎症性サイトカインが活発=免疫反応が亢進している状況ですので、感染症や自己免疫疾患、がんなどで炎症が起きている可能性があると考えられます。

なお、CRPは全身の炎症の有無を判断する材料としては活用できますが、どの部位で炎症が起きたかまではCRPではわかりません。

(2)×:血中尿素窒素は、たんぱく質の異化亢進で増加する。
アミノ酸が体内で代謝をうけてアミノ基が外れると、アンモニアとなります。

アンモニアは有毒なため、無毒化するために肝臓で尿素に変換され、血液を介して腎臓に運ばれて尿中に尿素として排泄されます。

したがって、たんぱく質の異化(分解)が亢進するとアンモニアが増加して尿素に変換されるため、尿中尿素窒素は増加します。

(3)×:胆道が閉塞すると、血中で直接ビリルビンが優位に増加する。
ヘモグロビンが寿命を迎えて壊れた中から出てくるのが、ビリルビン(黄色い色素)です。
ビリルビンはアルブミンと結合して間接ビリルビンとなり、肝臓に運ばれます

肝臓に運ばれた間接ビリルビンは、グルクロン酸抱合をうけて、胆汁の成分であり水溶性である直接ビリルビンとなります

直接ビリルビンは胆道から胆嚢へと運ばれて貯蔵されます。

胆道が閉塞すれば、肝臓から流れてくる直接ビリルビンがあふれてしまい、血中へと流れます。したがって、胆道が閉塞すると、血中で直接ビリルビンが優位に増加します。

直接ビリルビンと間接ビリルビンの違いも、国試頻出です。

ちなみに、直接・間接というのは、両者を区別するために染色した際、アルコール処理をしないと反応しないビリルビンを間接ビリルビン、特に処理なく染色できるビリルビンを直接ビリルビンと呼んだことが由来だそうです。

個人的には、アルブミンと結合しているビリルビンは、ビリルビンそのものとはいえないイメージがあるので間接的なビリルビン、アルブミンが外れたビリルビンはビリルビンそのものというイメージがあるので、直接ビリルビンと覚えています。

(4)○:臓器移植では、ヒト白血球型抗原(HLA)の適合を判定する。
やや難問でしょうか。
臓器移植をするには、移植を受ける側(レシピエント)から見れば、移植を提供する側(ドナー)の臓器は自分の生体ではない異物です。したがって、体内に異物が侵入しないよう、免疫反応が生じます。

異物かどうかの判断は、細胞内にあるヒト白血球型抗原の型がレシピエントとドナーで一致(適合)しているかどうかで判断されます。

(5)×:75g経口ブドウ糖負荷試験は、糖尿病の有無を判断するために行う。


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