32-004 わが国の保健統計に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)平均寿命と健康寿命の差は、女性より男性の方が大きい。
(2)平均寿命が延伸した理由に、乳児死亡率の低下がある。
(3)特定死因を除去した場合の平均寿命の延びが最も大きい死因は、心疾患である。
(4)老年人口割合の増加にも関わらず、老年人口指数は低下している。
(5)周産期死亡においては、死産数よりも早期新生児死亡数の方が多い。
正解:2
【解説】
1=×:平均寿命と健康寿命の差は男性より女性の方が大きいため、誤った選択肢です。
女性の方が男性より平均寿命が長く長生きですが、健康でいられる期間は同じ割合で伸びてはいません。
それゆえ、健康寿命を延ばそうというスローガンにつながるわけです。
2=○:平均寿命とは、0歳時点での平均余命のことです。平たく言えば、0歳の子が平均的に生存できる期間のことです。
その年に0歳の子がどのくらいの余命を過ごしたかを追跡していくことでは、その子が死んだ時にしか生存期間(0歳からの平均余命)はわからないわけですから、平均寿命(0歳からの平均余命)はそういう方法で導き出した実測値ではありません。
そうではなく、平均余命とは期待値であり、各年齢での死亡者数から各年齢での死亡する確率を算出することで導き出されます。
したがって、乳幼児の年齢での死亡率が低下することは、それらの総体である平均寿命でも死亡率が低下しているわけですから、平均寿命が延伸するということです。
なお、この各年齢時点での生存率を表にしたものが生命表です。
説明を聞いてもわからない場合は、各年齢で死亡する人が減れば、平均寿命としては延びると考えればよいでしょう。
3=×:特定死因を除去した場合の平均寿命の延びが最も大きい死因は悪性新生物であるため、誤った選択肢です。
“特定死因を除去した場合の平均寿命の延び”っていうのが、イマイチ何を言っているかわかりにくいですよね。
これは、ある死因がなくなったらその死因によって死ななくなった分伸びた寿命の期間、という意味です。
つまり、この選択肢は“心疾患を克服すれば、平均寿命は最も延びる”かどうかということです。
もっと平たく言えば、“死因の第1位は心疾患?”という問いだとわかれば、すぐに答えられるのではないでしょうか。
日本人の死因は、第1位が悪性新生物(≒がん)、第2位が心不全がゆるぎないトップ2で、第3位が老衰だったり脳血管疾患だったりです。
4=×:老年人口割合が増加すれば、老年人口指数も上昇するため、誤った選択肢です。
老年人口割合とは、総人口に対する老年者(65歳以上の高齢者)の割合です。また、老年人口指数とは、生産年齢人口(15~64歳の人口)に対する老年者(65歳以上の高齢者)の割合です。
老年人口割合も老年人口指数も、分子は高齢者数ですから、これらの指標は分母が大きく変わらない限り、ほぼ同じ傾向となります。
両指標の分母の違いは年少人口(0~14歳の人口)ですが、これも出生数は低下しているわけですから、総人口に対して爆発的に多いわけではないので影響は軽微です。
したがって、老年人口割合と老年人口指数はほぼ同じ傾向となります。
5=×:周産期死亡においては、早期新生児死亡数よりも死産数の方が多いため、誤った選択肢です。
早期新生児死亡数は毎年約2,400人程度発生していますが、死産数自体は訳20,000人程度と約11倍多く発生しています。
早期新生児死亡数が年々低下しているのは、産科管理の進歩によるものです。
一方、死産がなかなか減らないのは、子宮内で胎児がなくなることは技術的に防ぐのが難しいからです。
解説内容が良いと思って下さったら、ぜひ下のいいねボタンを押して下さい!いいねを頂けると、解説を書く励みになります。
コメントを残す