【第32回(2018年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問31人体「腎疾患」

32-031 腎疾患に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)糖尿病腎症は、ネフローゼ症候群にならない。
(2)CKD(慢性腎臓病)の診断基準では、糸球体濾過量(GFR)が、60 mL/分/1.73m2 以上である。
(3)推算糸球体濾過量(eGFR)は、血清クレアチニン値を用いて算出する。
(4)血液透析は、24時間連続して行う。
(5)死体腎移植を受けた患者には、免疫抑制剤の投与は不要である。

正解:3

【解説】
1=×:糖尿病腎症はネフローゼ症候群になるため、誤った選択肢です。

糖尿病は高血糖による血管炎がその病態です。
糖尿病腎症は、高血糖により腎の血管(糸球体)が炎症を起こし、炎症により糸球体が傷害され、たんぱくがろ過できずに尿中へ排泄されます。

糸球体を包むボウマン嚢とあわせてネフロンといい、ネフロンの機能が低下することで様々な症状を引き起こす状態をネフローゼ症候群といいます。

したがって、糖尿病腎症はネフローゼ症候群に進展します。

2=×:CKD(慢性腎臓病)の診断基準は、糸球体濾過量(GFR)が60 mL/分/1.73 m2 未満であるため、誤った選択肢です。

3=○:推算糸球体濾過量(eGFR)の算出には血清クレアチニン値を用いるため、正しい記述です。

クレアチニンとは、筋肉に含まれるアミノ酸の一種であるクレアチンが代謝された老廃物です。

クレアチニンは腎臓で濾過されて尿中に排泄されるため、血中のクレアチニンを測ることで、どのくらい血液中にクレアチニンが残っているか、尿中に排泄されなかったかという点から、腎臓の糸球体濾過機能(GFR)を推定する(estimated)指標=eGFRとして活用されています。

4=×:血液透析は、1日4~5時間で連続して行うため、誤った選択肢です。

一方、自分の腹膜を用いる腹膜透析は24時間連続で行います。

5=×:死体腎移植を受けた患者には免疫抑制剤の投与が必要なため、誤った選択肢です。

死体にせよ生体にせよ、自分の細胞以外の臓器を移植された場合、免疫反応が生じます。
そのため、臓器移植では免疫抑制剤を投与して免疫を抑え、他臓器を馴染ませます。


解説内容が良いと思って下さったら、ぜひ下のいいねボタンを押して下さい!いいねを頂けると、解説を書く励みになります。

0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

error: Content is protected !!