30-035 Bさん(87歳,女性)は夫(90歳)と二人暮らしである。Bさんには持病があり,夫は脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症による軽い右片麻痺で,訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用している。
Bさんと夫は苦労して手に入れた自宅に愛着を感じており,以前から,「死ぬならこの家で」と話していた。
ある日Bさんは,「この家で死にたいと思っていたけど,いつまで二人で暮らせるか…」と打ち明けた。
話を聞いた訪問介護員(ホームヘルパー)がBさんにかける言葉として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「ご夫婦二人で入居できる施設を探しましょう」
2 「便利な道具がいろいろありますから使ってみましょう」
3 「どなたかご家族と同居できるといいですね」
4 「いざとなれば病院に入院しましょう」
5 「何か心配なことがおありなんですね」
正解:5
【解説】
1=×:Bさん夫婦は自宅に愛着を感じており、自宅を人生の最終段階を迎える終の棲家と考えています。まずはこの意思を尊重し、実現できるような手立てやサービスを検討することが第一ですので、この選択肢は誤りです。
2=×:福祉・介護用具は、例えば「お風呂に入るのが難しい」などのように具体的な課題がわかれば有効に活用できますが、Bさんの抱える心配事は具体的には語られておらず、物理的な課題のみではないことが推察できます。まずは、Bさんの不安を受け止め、気持ちや具体的な課題を傾聴することが大切ですので、この選択肢は誤りです。
3=×:Bさんは現在夫婦で二人暮らしをしており、“自宅での二人暮らしを継続ができるかどうか”を心配しています。Bさんから他の家族と同居する意思表示は確認できないため、他の家族との同居を前提としたコミュニケーションは不適切ですので、この選択肢は誤りです。
4=×:厚生労働省が地域包括ケアシステムを通じて実現を目指す『時々入院、ほぼ在宅』1)のスローガンにみられるように、在宅療養をしている利用者の状態が悪化して病院に入院する、いわゆるポストアキュート入院は一時的な対応であり、生活・療養の場ではない病院への入院を勧めることは不適切です。また、Bさんの“自宅を終の棲家としたい”という意思にもそぐわない提案ですので、この選択肢は誤りです。
5=○:Bさんは“自宅での二人暮らしを継続ができるかどうか”について漠然と不安を抱えています。まずはその不安を受け止め、具体的な課題を傾聴し、課題を一緒に乗り越えていくことが大切ですので、この選択肢は正しいです。
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