【第30回(2018年)介護福祉士国家試験過去問解答・解説】問題57

パーキンソン病(Parkinson disease)(ホーエン・ヤール重症度分類ステージ3)の高齢者の寝室環境に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ベッドは介護者に合わせた高さにする。
2 ベッドに手すりをつける。
3 マットレスは体が沈みこむものを選ぶ。
4 ベッドサイドの床にクッション性のあるマットを敷く。
5 枕は頸部前屈になるような高さにする。

正解:2

【解説】
ホーエン・ヤール重症度分類』(『ホーン・ヤール(Hoehn&Yahr)の重症度分類』の方が一般的な呼び方です)とは、パーキンソン病における症状の重症度を評価するための分類基準1)です。

5段階のStage(ステージ)により区分され、その区分に対し厚生労働省により定められた1~3度までの生活機能障害度が対応しており、ステージⅢ~Ⅴ=生活機能障害度2~3度にあたるパーキンソン病は特定疾患(指定難病)と認定され、治療にあたり医療助成金を申請することができます2-3)

ホーン・ヤールの重症度分類において、ステージⅢの症状とは、自力での日常生活はなんとか可能だが、『姿勢反射障害』(体が傾いた場合、重心移動をする『姿勢反射』や、足を踏み出して転倒を防ぐ『立ち直り反射』がみられない状態)が見られるのが特徴です。

1=×:ベッドの高さは利用者である高齢者に合わせることが基本です。また、ステージⅢならば自力でベッドへの乗り降りができるため、利用者が安全にベッドに乗り降りができる高さに調整することが適切ですので、この選択肢は誤りです。

2=○:ステージⅢのパーキンソン病では自力で生活ができるものの、姿勢反射障害があり、転倒しやすくなるため、手すりなどの転倒防止を助ける工夫は適切ですので、この選択肢は正しいです。

3=×:ステージⅢのパーキンソン病では自力で体位変換ができる場合、クッション性が高く体が沈みこむようなマットレスの使用は、利用者の自力体位変換に支障をきたす場合があり、床ずれ(褥瘡)の原因となる4)ため、この選択肢は誤りです。

なお、適切なマットレス(耐圧分散用寝具)の選び方については、日本褥瘡学会よりガイドラインで推奨された基準5)がありますので、これを踏まえて、利用者にあったものを選ぶとよいでしょう。

体圧分散用具の選択フローチャート

(日本褥瘡学会編:『在宅褥瘡予防・治療ガイドブック(第3版)』.照林社,東京,p58,2015年より作成)

自立体位変換ができる場合はやわからめの素材(ウレタンフォーム)、自立体位変換できない場合は沈み込みにくい固い素材や沈み込みが調整しやすいエア素材などが適切です。

4=×:床にクッション性が高いマットレスを敷くと、姿勢反射障害があるステージⅢのパーキンソン病の人にとっては、やわらかいマットレスの上で立つことは困難であり、転倒の原因となるため、この選択肢は誤りです。

5=×:パーキンソン病では、前傾前屈姿勢となりがち1)です。前屈前傾姿勢は転倒しやすい体勢であり、頸部前屈を助長するような枕の高さは不適切ですので、この選択肢は誤りです。

参考文献
1)難病医学研究財団/難病情報センター:『パーキンソン病(指定難病6)
2)難病医学研究財団/難病情報センター:『指定難病患者への医療費助成制度のご案内
3)長谷川一子:『パーキンソン病患者の公的支援制度―パーキンソン病の医療支援について―』(2015年1月改訂版).ベーリンガー・インゲルハイム,2015年
4)鈴木央:『在宅褥瘡治療のエッセンス その1.栄養療法と体圧分散寝具』.全国在宅療養支援診療所連絡会ホームページ
5) 日本褥瘡学会編:『在宅褥瘡予防・治療ガイドブック(第3版)』.照林社,東京,p58,2015年
6)石川治:『褥瘡ケアを知ろう―褥瘡の予防と治療―』.マルホ

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