【第30回(2018年)介護福祉士国家試験過去問解答・解説】問題56

30-056 昼夜逆転している利用者への介護に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 食べたい時に,食事をするように促す。
2 1 時間以上,昼寝をするように促す。
3 夕方に,散歩をするように促す。
4 寝る直前に熱いお風呂に入るように促す。
5 眠くなるまで,テレビを見て過ごすように促す。

正解:3

【解説】
人間は約24時間周期で睡眠や覚醒、摂食などの生理現象が起きるリズム=『概日(がいじつ)リズム(サーカディアンリズム)』を持っています。

このリズムをもたらしているのが体内時計ですが、この体内時計は明暗の刺激などの外界のさまざまな事象の影響を受けて調整・同期を行います1)

体内時計に影響を与える因子=同調因子には『光による明暗』のほか、『運動』『食事』『温度・湿度・騒音・振動などの環境』『社会的因子(家庭・学校・仕事・遊びなど)』があり、これらの同調因子を乱れたタイミングで受けることで誤った同期がなされ、昼夜逆転・不眠などの概日リズム障害が生じます1)

昼夜逆転などの概日リズム障害は交代制勤務者に多くみられる2)疾患ですが、体内時計をつかさどる時計中枢は視床下部の視交叉上核にあり、光の明暗の情報は視神経を通じて視交叉上核に届けられ、そこから松果体へ伝えられ、松果体から睡眠促進ホルモンであるメラトニンが分泌されるため、概日リズム障害においては太陽の光を浴びることが有効です3)

1=×:食べたいときに食事をすることで、食事をする時間帯に対して誤ったサーカディアンリズム・体内時計の調整がなされてしまい、昼夜逆転を維持・悪化させてしまうため、この選択肢は誤りです。

2=×:1時間以上の昼寝により睡眠・覚醒パターンが不規則となる2)ため、この選択肢は誤りです。

3=○:適度な運動は適度な疲労感を得るとともに心をリラックスさせることで入眠しやすくなるため、この選択肢は正しいです。

4=×:熱いお風呂は交感神経を刺激4)、体が興奮して眠りにくくなるため、この選択肢は誤りです。

5=×:テレビによる光刺激は体内時計を刺激して覚醒させるため、この選択肢は誤りです。

参考文献
1)日本薬学会:『薬学用語解説』.概日リズム
2)日本神経治療学会:『標準的神経治療:不眠・仮眠と概日リズム障害』.2016年
3)久保 明監修:『けんこう名探偵』.第1回セロとニンのヒミツを探る.大原薬品
4)日本医師会:『あなたの健康を応援する健康の森』.お風呂の効用.
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