【第30回(2018年)介護福祉士国家試験過去問解答・解説】問題51

30-051 消化管ストーマを造設している人の生活支援に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 排泄物がパウチの3分の1から2分の1程度たまったら処理するように助言する。
2 ベルトでウエストを締める服を選ぶように助言する。
3 ラジオ体操は控えるように助言する。
4 回腸ストーマのある人は水分摂取は控えるように助言する。
5 れんこんやごぼうを多くとるように助言する。

正解:1

【解説】
1=○:ストーマ(人工肛門)により排泄される便はストーマ袋に溜められます。ストーマ袋の交換頻度は、個人により異なりますが、ストーマ袋に便が3分の1程度溜まるのを目安に交換すると良い1)ので、この選択肢は正しいです。

2=×:ズボンのベルトやウエストゴムがストーマにかからないようなら服装に制限は特にありません1)が、ベルトでウエストを圧迫すると消火管ストーマ(お腹の中のストーマの管)が圧迫されてしまうので、この選択肢は誤りです。

ストーマを造設した方には、ストーマを圧迫しないよう、スラックスのウエストサイズはゆるやかなものを選び、ベルトも心持ちゆるく締めたり、ストーマ位置にベルトがくる場合はサスペンダーを使うなどの工夫をすると良いです2)

3=×:ストーマを造設しても、マラソンや水泳など、今までとほとんど同じように運動することができます1-2)
相手とぶつかり合うような運動はストーマを傷害するおそれがあるので控えるべきですが、適度な運度は健康増進や気分転換に役立つため、ラジオ体操のような軽微な運動を抑制しないことが適切ですので、この選択肢は誤りです。
なお、運動を行う前にはストーマ袋の便・尿を排出し、ストーマ装具も小さく目立たないものにすると良いです1)

4=×:『回腸ストーマ(イレオストミー)』とは、何らかの理由で大腸(直腸や結腸)を使わないようにする場合、小腸の一部である回腸と大腸につながりを切除し、回腸を体外(右下腹部)に誘導して造設するものです3-4)
回腸ストーマでは、水分を吸収する働きをもつ大腸を使わないため、水分が吸収されずそのまま便(水様便)となります。ストーマ造設者は基本的に食事の制限はありませんが、回腸ストーマでは脱水や電解質減少が起きやすくなるため、スポーツ飲料、味噌汁、スープ、ジュースなどの塩分や糖質を含む水分をこまめに摂取したほうが良く5)、この選択肢は誤りです。

5=×:食物繊維がストーマ口につまることがあるため、消化しにくい食べ物は大量に食べずに、よく噛んで食べることが適切です5)ので、この選択肢は誤りです。

参考文献
1)コロプラスト:『ストーマケアと暮らしのガイドブック 消化管ストーマ・尿路ストーマ用
2)日本オストミー協会:『ストーマとの生活
3)ビー・ブラウンエースクラップ:『回腸ストーマについて
4)渡邊千登世:『これで解決!医療者のためのストーマケア・ナーシング』.アルメディアWEB
5)渡邊千登世:『ストーマとともに充実した毎日を ストーマ・ライフ』.アルメディアWEB
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