【第30回(2018年)介護福祉士国家試験過去問解答・解説】問題50

直腸性便秘のある高齢者の介護として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 排便時は隣に立って見守る。
2 市販の下剤を毎日勧める。
3 日中の活動を控えるように勧める。
4 朝食後,トイレに誘導する。
5 食物繊維は控えるように勧める。

正解:4

【解説】
便秘とは、“本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態1)をいいます。

便秘は大腸や直腸などの機能がうまく働かずに起きる『機能性便秘』と、腸管がつまるなど物理的な障害・損傷により起きる『器質性便秘』の大きく2つに分類されます。

『直腸性便秘』は機能的便秘に分類され、肛門の近くにある直腸に便が到達しても排便反射が起きず便が滞ってしまう便秘です2)

排泄されずに体内(腸内)に長時間停滞・貯留された便は水分が吸収され、より硬く太いものになり、排便時に痛みを伴うようになります。

この直腸性便秘は、直腸に便が到達し、直腸壁が伸びて刺激を受けているにもかかわらず、排便を我慢することで、直腸の感受性が低下し、便意=排便反射が消失し、それにより便が溜まっていても気がつかずに便が溜まり・・・という悪循環によりもたらされる便秘です3)

排便回避は便秘の原因の一つですので、介護者は利用者がリラックスして排便できるよう配慮しましょう

1=×:排泄時に人が近くにいると羞恥心を感じてしまい、リラックスした排便ができなかったり、排泄自体を我慢してしまい、便秘の悪循環を生むおそれがあるので、この選択肢は誤りです。

2=×:下剤(刺激性下剤)は毎日連用することで耐性を生じるとともに、難治性便秘の原因となる4)ため、この選択肢は誤りです。

3=×:リラックスしたり、適度な運動(有酸素運動)をすることで副交感神経優位となると、腸の蠕動運動は活発化するため、日中の活動は有効ですので、この選択肢は誤りです。

4=○:朝に目覚めて起きて立ち上がると、その刺激で大腸の蠕動運動が始まり、『姿勢・結腸反射(起立反射)』が起き5)、排便につながるため、この選択肢は正しいです。

5=×:食物繊維には、果物や海藻、こんにゃくなどに多く含まれる『水溶性食物繊維』と、豆類、根菜類、野菜類、きのこ類などに多く含まれる『不溶性食物繊維』があります。

水溶性食物繊維は便の中に溶け込んで便を軟らかくし、腸内の通過をよくします不溶性食物繊維は便のかさを増すことで腸の蠕動運動を活発化させ、便を押し出す効果が期待できます6)
つまり、食物繊維は便秘改善に有効と考えられるため、この選択肢は誤りです。

参考文献
1)日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会:『慢性便秘症診療ガイドライン2017』.南江堂,2017年
2)第一三共ヘルスケア:『便秘の原因』.薬と健康の情報局
3)日本小児栄養消化器肝臓学会、日本小児消化管機能研究会編:『小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン
4)厚生労働省:『高齢者の医薬品適正使用の指針 総論編』(2018年5月)
5)平田肛門科医院:『便秘対策①生活習慣の改善
6)千葉県栄養士会:『便秘の予防と食事

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