【第30回(2018年)介護福祉士国家試験過去問解答・解説】問題49

排便のメカニズムに基づく排泄の介護として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 トイレまでの歩行は,胃・結腸反射を誘発するために有効である。
2 食後の臥床は,腸内の蠕動運動の亢進に有効である。
3 トイレ誘導は,便意を催してから30分後が有効である。
4 腹部マッサージは,下行結腸,横行結腸,上行結腸の順に行うことが有効である。
5 便座に座って足底を床につけた前傾姿勢は,腹圧を高めるために有効である。

正解:5

【解説】
1=×:『胃・結腸反射』とは、胃に食べ物が入ることで大腸が動きはじめ、便が直腸に運ばれる蠕動運動が起こること1)です。
便により直腸壁が伸びた刺激が仙骨神経を経て大脳皮質に伝わり便意が刺激されます2)

また、朝に目覚めて起きて立ち上がると、その刺激で大腸の蠕動運動が始まる『姿勢・結腸反射(起立反射)』が起きます3)

自律神経のうち、リラックスして副交感神経が優位となると、胃酸がたくさん分泌され、腸の蠕動運動も活発となります。
一方で、運動や歩行により蠕動運動が活発化するとの見解4)もありますが、トイレまでの歩行は軽微な運動であり、トイレへの歩行が胃・結腸反射を誘発するには有効とする根拠がないため、この選択肢は誤りです。

2=×:排便では、直腸より下にある肛門へ便を移動させることが重要ですので、重力で便を下げることが有用です5)。また、臥床位(横になること)の寝た姿勢では、蠕動運動は促進されにくい5)ので、この選択肢は誤りです。

3=×:自然排便ができる便意のタイミングを逃して我慢させてしまうと、便意がなくなり、便秘を招くおそれがあります6)便意を逃がさずにすぐにトイレ誘導を行うことが重要ですので、この選択肢は誤りです。

4=×:『腹部マッサージ』はおなかの上から大腸を刺激することで、大腸の蠕動運動を促します。そのため、大腸の蠕動運動に沿って、上行結腸→横行結腸→下行結腸→S字結腸と、大腸から肛門に向けて順番に行うのが適切7)ですので、この選択肢は誤りです。

5=○:座った姿勢でやや前屈みになると、便を押し出すための腹圧の方向と便が進む方向が一致し、排便に適した姿勢となる8)ため、この選択肢は正しいです。

参考文献
1)菱沼典子:『便秘・下痢を防ぐための基礎知識【消化器の仕組みと働き】』.花王ヘルスケアナビ
2)日本小児栄養消化器肝臓学会、日本小児消化管機能研究会編:『小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン
3)平田肛門科医院:『便秘対策①生活習慣の改善
4)西口幸雄編:『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』.照林社,2014年
5)ユニ・チャーム排泄ケア研究所:『生活習慣の改善による排便ケア』.排泄ケアナビ,ユニ・チャーム
6)日本コンチネンス協会:『排泄ケアの基礎知識
7)ユニ・チャーム排泄ケア研究所:『高齢者のための排便体操』.排泄ケアナビ,ユニ・チャーム
8)神山剛一:『排便習慣と排便姿勢』.排泄ケアナビ,ユニ・チャーム

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