【第34回(2020年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問37人体「骨粗鬆症」

骨粗鬆症に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)骨芽細胞は、骨吸収に働く。
(2)カルシトニンは、骨吸収を促進する。
(3)エストロゲンは、骨形成を抑制する。
(4)尿中デオキシピリジノリンは、骨形成マーカーである。
(5)YAM(若年成人平均値)は、骨密度の評価に用いられる。

正解:5

【解説】

1=×:骨芽細胞は骨形成に働くため、誤った選択肢です。

骨は大人になっても骨吸収と骨形成を繰り返しており、これを骨のリモデリングといいます。

骨吸収とは、破骨細胞が古くて脆くなった骨に付着して破壊することです。
一方、骨形成とは、骨芽細胞がたんぱく質を分泌することでハイドロキシアパタイトを骨に沈着させることです。

2=×:カルシトニンは骨吸収を抑制するため、誤った選択肢です。

カルシトニンはカルシウム調整ホルモンです。

血中カルシウム濃度が高くなると副甲状腺からカルシトニンが分泌され、破骨細胞に直接作用してその活動を抑制します

また、小腸から血液へとカルシウムが吸収されることを抑制して、血中カルシウム濃度が高くならないように作用します。

3=×:エストロゲンは骨形成を促進するため、誤った選択肢です。

女性ホルモンであるエストロゲンは、骨芽細胞に作用して骨形成を促進するとともに、破骨細胞を抑制して骨吸収を低下させる作用があります。

閉経後にエストロゲンの分泌が低下すると、抑制されていた骨吸収が増加します。

4=×:尿中デオキシピリジノリンは骨吸収マーカーであるため、誤った選択肢です。

デオキシピリジノリンは骨のコラーゲン内に多く含まれる代謝産物で、骨が破壊されると尿中デオキシピリジノリン濃度が上昇するため、骨吸収マーカーとして利用されます。

なお、骨形成マーカーとして利用されるのは、骨型アルカリホスファターゼです。

骨芽細胞はアルカリホスファターゼを産生するため、アルカリホスファターゼが高ければ骨形成が優位だと判断できます。

5=○:YAM(若年成人平均値)は骨粗鬆症の骨密度の評価に用いられるため、正しい記述です。

20~40歳女性の平均的な骨密度をYAM(平均値;young adult mean)として、骨粗鬆症の診断の指標としています。

YAMが70%未満か、X線で骨委縮がみられた場合で、骨粗鬆症と診断されます。

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