車いすで『国際福祉機器展(HCR)』に行ってみた!
はじめましてERIKOです!
“遠位型ミオパチー”という難病と向き合いながら毎日車いす生活をしています。
今年中には東京で一人暮らしを始めようと少しづつながら準備しています。
進行性の病気のため、毎年少しずつ身体の変化を感じる中、「自分からどんどん行動しなくちゃ!」と勇気を振り絞って活動を始めました。
そこで今回は、2018年10月10日(水)に東京ビッグサイト東展示ホール(東京都江東区)で開催された国内最大級の福祉機器の展示会『第45回国際福祉機器展(HCR2018)』に車いすで参加して、色々な情報に触れることができました。
誰かのサポートや福祉機器に頼らざるを得ない身体状況の中、本当にいい福祉機器の発見をしたい!また実際に目で見て体験することにより、自分自身にあった快適さに出会いたい!と思い、実際に自分で車イスで念願の『国際福祉機器展』の会場を見て回りました。
そこで今回は、実際に会場で出会った出展の中から、車いす目線で気になった注目福祉機器をいくつかリポートしたいと思います!
移動・移乗がさらに便利に!最新の車いす&リフトのココがすごい!
設置型天井走行リフト『かるがる®V』とレールシステム
今回のHCRで私が一番見たいと思っていたのがコレ!
『かるがる®V』は車椅子移動をされている方など、移動に困難を感じる方のために開発された室内移動用のリフトシステム。
家屋に合わせて部屋全体を移動できるようフレームを設置して、専用のリフトと体を包むシートを組み合わせてレールを滑らせるようにして全介助で移動する。
環境が整えばトイレも入浴も利用可能。
『かるがる®V』がすごいのは、レールを組み合わせれば、部屋のどの位置も自在に動けるし、例えば寝室から隣の部屋へとリフトを外さずに移動できること。
体を支えるシートも車いすに座ったまま装着・脱着できるので、早速実体験してみました!
リフトへの装着や脱着は簡単な操作なので、家族やもちろんヘルパーさんでも操作できそう。
ただ、リフトに乗る人の体型などに合わせて横着するときにコツがいるため、慣れるまで少し練習が必要みたい。
リフトに乗ってしまえば、移動は本当にスムーズで、ブランコにでも乗っているような感覚で部屋の中を移動できます。
価格はリフト本体が82万円、レールシステムが65万円からとやや高価ですが、例えば高齢者用住宅などに設置したオプション付きの入居サービスを作る可能性もあります。
自宅に設置する場合、東京都だと133万円の補助があるなどの制度へのアドバイスを聞くこともできました。
実は事前にメーカーの担当者とメールでご相談させていただきながら詳細な情報を案内していただきました。
福祉用具は概ね高価なため、様々な補助制度を活用することが多いです。
購入してからも、安全性や操作性をフォローするメンテナンスが重要なので、メーカーからのアフターケアがあるかどうかは選択の大きなポイントですね。
販売元:竹虎ヒューマンケア事業部
駆動時間が長い&コンパクト!Foldawheelの軽量電動車いす/スタンディング車いす『Foldawheel PW-999UL』
『Foldawheel PW-999UL』は折りたたみができる電動車いすで、総重量21kg。
とても革新的!
まず見た目がスタイリッシュ。
バッテリーは車椅子本体の左右の車輪ステムの中に収納できて、予備のバッテリーも持ち運べる。
1回のフル充電で12〜13kmは駆動可能。。予備のバッテリー携帯でさらに便利になります。
折りたたみ時にバッテリーを外す手間もなく、スムーズにスッキリと小さくまとまります。
購入は38万円と安くはないように思えますが、それでも競合メーカーの半額ぐらいの価格です。
同じ電動車いすの分野でも、簡易電動車いすと電動車いすとでは、全く違う車いす分野ですし、簡易電動車いすにおいてもメーカーや装備等、オーダー(サイズ等)により(価格は)ピンキリですが、FoldaWheel社の価格設定はかなり良心的でしょう。
また、注目すべきは代理店が介護保険対象のレンタルをカバーしていることです。
月々3,000円~スタンディングでも8,000円でレンタル利用できます。
これはユーザーとしてはものすごいメリットですよね。
今回出展していた代理店は首都圏内のみレンタル可能とのことでしたが、レンタル利用はこれからの福祉機器ユースにとっては大きなカギになるでしょう。
製品はマレーシア製。
生産コストを下げながらもアイディアとイノベーションで勝負できるか、日本を飛び出したアジア圏での物作りに未来の可能性を感じました。
販売元:株式会社ユーエスマネジメント(東京都豊島区)
お気に入りの車いすを電動化!Permobillの『スマートドライブ』
スウェーデンの車いすメーカーであるペルモービル社から出された『スマートドライブ』は、固定式電動ホイールを車いすの車輪の真ん中に取り付けることにより、車いすの駆動をアシストする機器です。
『スマートドライブ』は上り坂や下り坂でも効果を発揮。
また、小型でホールも小さいので小回りも効きます。
例えば、スーツケースを車いすの後方に固定して移動するなんてことも可能で、スポーツにも応用できそう。
気になるのは値段が65万円と高価なコト。同じメーカーからは優れた操作性の高いスタンディングの電動車いすも出ていますが、300万円とこちらもお高いので購入するにはややハードルは高い。
でも、せっかくなので試乗してみました!
車いすがモーターで背上がりし直立して立位で移動できるタイプの製品にはとても惹かれました。
注目すべきは手元のコントローラーの反応の良さです。
少しの操作で敏感に反応するし、フィードバックもとても繊細。
私みたいに全身に麻痺があって手先の操作で車いすを駆動させる場合、「操作性」は大きなポイントです。
こんな製品がもっと普及して価格が下がればいいのにね。
販売元:ペルモビール株式会社(東京都江東区)
自立した排尿を支援
排尿のタイミングがわかる!排尿予知デバイス『DFree』
『DFree』は膀胱の膨らみを独自のデバイスでセンシングして排尿のタイミングを計る装置です。
計測データを独自のアルゴリズムで解析して、その利用者個別の排尿パターンを計ることができます。
私自身は今それほど夜間のトイレで不自由は感じていないけど、一緒に行った介護福祉士の従姉妹は『DFree』に興味津々だったみたいです。
例えば高齢者施設や病院などでは、これまで一律に夜間の同じ時間(深夜9時・2時・4時というように)に排泄パトロールして、オムツチェックやトイレの促しのために患者・利用者さんを起こしていました。
しかし、排尿パターンはそれぞれ個別に違いますし、時間通りチェックしても排尿はなく、夜間に起こされる不快さと、昼夜逆転を招く原因にもなっていました。
そうした問題も『DFree』を使えば、患者・利用者のそれぞれの排尿パターンあった時間にのみ、促しやオムツチェックができるので、より効率的で、人間の生理リズムにあったケアが可能になるのではないでしょうか。
在宅で利用すれば、不要な夜間のトイレ促しは必要なくなり、家族はゆっくり寝れるし、逆に本当に必要なタイミングでトイレ介助を行えるので、家族の心配は軽減できるし、本人の生理的欲求にかなった睡眠や排泄サポートが確保できるかもしれませんね。
排泄の介助については、誰もが自分から希望を言いづらく、研究や開発が進まないのが現状。
介助する側だけでなく、利用する本人の気持ちがしっかり入った福祉用具開発はこれからの未来の介護の課題だと感じました。
販売元:トリプルダブリュージャパン株式会社
障害があっても五感を使って楽しむ!
五感を刺激したリラクゼーション『スヌーズレン』ルーム
『スヌーズレン』とは、知的障害のある児童や重度の身体障害の方のケアのためにオランダで研究が深まってきている光や音、そして触覚をもとに遊び心をふんだんに取り入れた感覚的アプローチです。
主にオランダを中心に広がりを見せていて、今回の会場ではその『スヌーズレン』が実際に体験できるのが魅力。
照明やモニター画像を直接床に映し出したり、ペットボトルなど身近にあるものを工夫して音を出すグッズなど、自由で柔らかいアイディアの宝庫に、こどもから大人まで見学が殺到してました。
移動や起きている時の生活動作に福祉用具のサポートはイメージしやすいけど、実はベッドに横になっている間も頭も心も活発に動いているのだから、“感覚的なアプローチ”は私たちにとって大きな生活課題。
寝ている時のベッドの柔らかさや触りごごち、目に見えている壁の色や部屋の景色、福祉器具の操作音の音色や音の長さ・聞こえやすさは、「快適」かどうかに直結します。
音のアプローチは、音楽的なセラピーだけでなく、すべての生活の中に関係します。すべての障害にとって感覚からアプローチするリラクゼーションは大きなテーマ。
素晴らしいアプローチなのでもっと広まればいいのに!と感じました。
販売元:KOSインターナショナル(東京都港区)
『ぼんじりゲット』
医療福祉事業に特化してデザインやイベント事業を手がける『Ubdobe(ウブドベ)』は、アートとリハビリを融合させた遊び空間を演出している団体で、AR(拡張現実)をキーワードに、障害や制限のある身体・知覚を超えて、社会と交わる可能性を提案しています。デジタルとICTの最新テクノロジーで医療や福祉現場のアプローチを一新する分野です。
こうして説明すると難しくなるけど、『Ubdobe(ウブドベ)』が今回提供しているのは、要はテレビゲーム感覚のリハビリで、テレビモニターを超えて床や壁などに写した映像に触ったりすることでキャラクターが動いたり、音が出たりするプログラムです。
実際に使ってみた感触だと、ビジュアル面や感覚との同期の完成度にはまだまだ。
それでもこれからさらに夢がふくらんでくる深い分野。
体験したプログラムの一つである『ぼんじりゲット』は、食事が進まないある子供が焼き鳥の「ぼんじり」は大好きという話にヒントを得て、その子のためにゲームのアイテムにぼんじりを登場させたというエピソードがある。
売れるか売れないかで開発をするのではなく、使う人が何を望んでいるかに寄り添う感覚が福祉機器開発に求められてくると感じました。
特に「ものづくり」ではなく、ARのようなコンピュータを使った仮想体験ではなおさらで、障害を乗り越えた「個人的な願い」を具現化するヒントになるのかな、と期待しちゃいました。
Ubdobeさんならではのこうした発想が、これからの福祉に必要なのかなと思いました。
販売元:Ubdobeデジリハ事業部
『国際福祉機器展(HCR)』に行ってみて
『国際福祉機器展(HCR)』に行くと、手に取った感触、体験することにより本人にしかわからない便利さ、不便さを知ることができます。
また、わからないことはその場でメーカーさんに教えてもらえるのもありがたいです。
インターネットやパンフレットだけでは見つからない『自分のこんな物欲しい!こんな物があったらいいな』に出会うこともあります。
私は今回が初めて『国際福祉機器展(HCR)』に参加しましたが、“出会えた福祉機器がさらにもっと素晴らしい形になってるかもしれない!”、“今出会えていない何かが、これから生まれるかもしれない!”という思いや期待がいっぱいになりました。
日々進化している今の時代だからこそ、『国際福祉機器展(HCR)』、また行きたいと思いました。
2019年の『国際福祉機器展(HCR)』は9月25日(水)~27日(金)(東京ビッグサイト)で開催です!
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