【第30回(2018年)介護福祉士国家試験過去問解答・解説】問題18

30-018 社会福祉士及び介護福祉士法に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 介護に従事している者は,介護福祉士を名乗ることができる。
2 介護福祉士の業として,介護者に対する介護に関する指導が含まれる。
3 成年被後見人や被保佐人は,介護福祉士となることができる。
4 介護福祉士は信用失墜行為をした場合,罰則により1年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる。
5 介護福祉士国家試験に合格した日から,介護福祉士を名乗ることができる。

正解:2

【解説】
そもそも介護福祉士とはどのような存在であるかの基本的な知識を問う問題です。
法律上の定義をしっかり理解しておきましょう。

『介護福祉士』の定義

『介護福祉士』がどのような存在であるかについては、『社会福祉士及び介護福祉士法』の第2条の2に定義されています。

第二条 2 この法律において「介護福祉士」とは、第四十二条第一項の登録を受け、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰(かくたん)吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であつて、医師の指示の下に行われるもの(厚生労働省令で定めるものに限る。以下「喀痰吸引等」という。)を含む。)を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うこと(以下「介護等」という。)を業とする者をいう。

簡単に言えば、介護福祉士とは、利用者へ介護(喀痰吸引を含む)を提供し、また、介護者には介護指導を提供する者ということです。

では、介護を提供すれば、その人は介護福祉士なのでしょうか。

介護には専門的知識や技術が必要であるため、その質を担保するために、社会福祉士・介護福祉士は、国家試験を合格したものに資格が与えられる国家資格となっています。

そのため、国家資格を有する者は国に登録する必要があることが『社会福祉士及び介護福祉士法』に定められています。

第二十八条 社会福祉士となる資格を有する者が社会福祉士となるには、社会福祉士登録簿に、氏名、生年月日その他厚生労働省令で定める事項の登録を受けなければならない。

第四十二条 介護福祉士となる資格を有する者が介護福祉士となるには、介護福祉士登録簿に、氏名、生年月日その他厚生労働省令で定める事項の登録を受けなければならない。

また、社会福祉士及び介護福祉士法の第48条では、無資格者が勝手に社会福祉士や介護福祉士を自称・呼称してはいけないとされており(名称の使用制限)、勝手に使用すると同法第53条により30万円以下の罰金となります。

第四十八条 社会福祉士でない者は、社会福祉士という名称を使用してはならない。
2 介護福祉士でない者は、介護福祉士という名称を使用してはならない。

社会福祉士・介護福祉士になれない者

『社会福祉士及び介護福祉士法』では、下記のように示されています。

第三条 次の各号のいずれかに該当する者は、社会福祉士又は介護福祉士となることができない。
一 成年被後見人又は被保佐人
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
三 この法律の規定その他社会福祉又は保健医療に関する法律の規定であつて政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者

1=×:『社会福祉士及び介護福祉士法』第48条にあるように、社会福祉士や介護福祉士は国家資格職であるため、介護に従事しているからといって勝手に介護福祉士を名乗ることは禁止されており不適切ですので、この選択肢は誤りです。
2=○:『社会福祉士及び介護福祉士法』第2条にその記載があり、この選択肢は正しいです。
3=×:『社会福祉士及び介護福祉士法』第3条によれば、「成年被後見人」「被保佐人」「医療・介護・福祉関連法の違反から間もない者」「受刑やから間もない者」は、社会福祉士・介護福祉士になる資格がないため、この選択肢は誤りです。
4=×、『社会福祉士及び介護福祉士法』第45条では、社会福祉士・介護福祉士の信用を失うことを禁止すること(信用失墜行為の禁止)が定められています。そして、同法第32条の2では“信用失墜させた場合(第45条に違反)にできることとして、“社会福祉士の登録取消もしくは一定期間の名称使用の停止を命ずる”とあるため、この選択肢は誤りです。
5=×:『社会福祉士及び介護福祉士法』第42条にあるように、社会福祉士や介護福祉士は国家試験に合格して資格を得たのち、厚生労働省の指定する登録機関にて登録しなければ、社会福祉士や介護福祉士を名乗ることができないため、この選択肢は誤りです。

参考文献
1)『社会福祉士及び介護福祉士法』
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