30-015 Fさん(75歳,女性,要介護3 )は訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用して,自宅(持ち家)で一人暮らしをしている。年金と貯金で生活してきたが,貯金もなくなって利用者負担額の支払いができないので,来月から訪問介護(ホームヘルプサービス)を断りたいとG訪問介護員(ホームヘルパー)に相談した。
G訪問介護員(ホームヘルパー)の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 所属する事業所に,来月から訪問介護(ホームヘルプサービス)の利用がなくなると伝える。
2 扶養義務者がいたら,援助をしてもらうように勧める。
3 生活保護制度の申請を勧める。
4 金融機関から借入れをするように勧める。
5 担当の介護支援専門員(ケアマネジャー)に検討を依頼する。
正解:5
【解説】
訪問介護員(ホームヘルパー)としての対応を問う設問です。
訪問介護員としての基本的な姿勢について、全国ホームヘルパー協議会が作成した倫理綱領1)には下記のように示されています。
1 ホームヘルプサービスの目的
私たちは、利用者が住み慣れた地域で心豊かに安心して暮らしつづけたいという気持ちに寄り添って、日常的に介護を必要とする障害者(児)や高齢者の生活を支え、その家族や介護者を支援し、自立支援を目的としてホームヘルプサービスを提供します。8 関連サービスとの連携
私たちは、ケアマネジメントなどの関連サービスとの連携、福祉、医療、保健その他の関連領域に従事する者と積極的な連携を図り、協力して行動します。
この基本的な態度にあるように、利用者の気持ちに寄り添うべき介護職としては、経済的な理由により介護サービスを利用できない利用者の言葉をそのまま受け取るのではなく、利用者の発言にある背景や気持ちに着目する必要があります。
1=×:この場合、訪問介護を受けたいが経済的に難しいことが背景=解決すべき課題であり、その課題解決なしに本人の決定事項として訪問介護が利用できないと伝達することは適切ではないため、この選択肢は誤りです。
2=×:援助は自立より優先度が低く、この場合、他の制度が利用できるかなど、利用者の自立可能性について検討が不十分ですので、この選択肢は誤りです。
3=×:選択肢2と同様、利用者の自立可能性について検討が不十分であり、安易な生活保護の利用・推奨は不適切ですので、この選択肢は誤りです。
4=×:経済的に困窮しているFさんに返済のめどが立たない借入をさせることは不適切ですので、この選択肢は誤りです。
5=×:利用者の自立可能性について検討するうえで、他の専門職と連携して対応することは重要です。とりわけ、利用者の状況はケアマネージャーが把握しているため、経済的に困窮している場合の制度利用についてケアマネージャーと検討することは適切であり、この選択肢は正しいです。
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