【第34回(2020年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問114臨床「末梢静脈栄養法」

34-114 末梢静脈栄養法に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)1日に2,000 kcal を投与できる。
(2)アミノ酸濃度20%の溶液を投与できる。
(3)脂肪乳剤は、1 g/kg標準体重/時で投与できる。
(4)ブドウ糖濃度30%の溶液を投与できる。
(5)浸透圧300 mOsm/L の溶液を投与できる。

正解:5

【解説】
1=×:末梢静脈栄養法では、1,000 ~1,300kcal/日までしか投与できないため、誤った選択肢です。

末梢静脈から投与できる輸液製剤は、高エネルギー=高浸透圧なものは血管炎などを生じるため、浸透圧比で3以下のものに限られます。

したがって、末梢静脈栄養(PPN)では、輸液で1日の必要エネルギー量をすべて賄いたくても、糖・電解質・アミノ酸輸液に脂肪乳剤を併用しても1,000 ~1,300kcal/日しか投与することはできません。

2=×:末梢静脈栄養法では、アミノ酸濃度10%の溶液までしか投与できないため、誤った選択肢です。

前述のように、梢静脈栄養法では浸透圧が高い輸液は血管炎などを生じるため、アミノ酸濃度は5~10%となっています。

3=×:脂肪乳剤は0.1 g/kg標準体重/時で投与するため、誤った選択肢です。

脂肪乳剤は浸透圧も約1と低く、投与により、脂質のためにg当たりのエネルギー量が高く効率的であり、必須脂肪酸も供給できる長所があります。

日本静脈経腸栄養学会によれば、脂肪乳剤はトリグリセリド値の上昇がみられなかった0.1 g/kg標準体重/時での投与が推奨されています。

4=×:末梢静脈栄養法では、ブドウ糖濃度7.5%の溶液までしか投与できないため、誤った選択肢です。

こちらも浸透圧の関係です。

5=○:ヒトの血漿浸透圧は約300mOsm/Lであるため、浸透圧300 mOsm/L の溶液では、急激な浸透圧差を生まないため、投与ができます。


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