【第34回(2020年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問113臨床「経腸栄養補給法(経鼻栄養)」

34-113 経鼻胃管にて、1.0 kcal/mL の半消化態栄養剤(常温)を100 mL/時で250 mL 投与したところ、下痢を生じた。その対策に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)脂質含量の多い経腸栄養剤に変更する。
(2)浸透圧の高い経腸栄養剤に変更する。
(3)2.0 kcal/mL の経腸栄養剤に変更する。
(4)4℃にして投与する。
(5)25 mL/時で投与する。

正解:5

【解説】
1=×:脂質含量の多い経腸栄養剤では、下痢を起こしやすいため、誤った選択肢です。

脂質は消化しにくく、下痢の原因の一つです。

2=×:浸透圧の高い経腸栄養剤では、下痢を起こしやすいため、誤った選択肢です。

浸透圧の高い経腸栄養剤は腸管で吸収されにくく、高浸透圧な溶質が腸管内に多量に存在するため、水分が腸管内腔へ移動することで下痢が生じやすくなります。

3=×:エネルギー量の多い経腸栄養剤は高浸透圧であり、痢を起こしやすいため、誤った選択肢です。

4=×:冷たい経腸栄養剤を投与することで下痢が引き起こされるため、誤った選択肢です。

経腸栄養剤では細菌の繁殖を抑制する必要がありますが、冷たすぎると下痢の原因となります。一方、経腸栄養剤を急激に温めることで細菌が繁殖するおそれがあるため、常温・人肌での投与が望ましいとされています。

5=○:経腸栄養剤の投与速度を遅くすることで下痢を予防できるため、正しい記述です。

経腸栄養剤が短時間で大量に投与されることで機械的刺激が起こり、腸の蠕動運動が亢進して、腸の内容物が十分な消化・吸収を経ずに急速に通過するため、下痢を引き起こします。

したがって、下痢予防として投与速度を遅くすることは有効だと考えられます。


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