【第34回(2020年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問112臨床「栄養モニタリング項目(肝硬変)」

34-002 代償性肝硬変患者の栄養モニタリング項目である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。

(1)肝性脳症の有無
(2)浮腫の有無
(3)筋肉量
(4)ウエスト/ヒップ比

正解:3

【解説】

代償性肝硬変患の「代償性」とは、“なんとか代わりに償うことができている”という意味で、平たく言えば、何とか他の臓器が代わりになってくれているおかげで機能を維持できている肝硬変、そんなに酷い症状がない肝硬変ということです。

1=×:肝性脳症は非代償性肝硬変での栄養モニタリング項目であるため、誤った選択肢です。

非代償性肝硬変とは、“他の臓器が代わりにならないくらい機能が低下して症状がでている”肝硬変と考えればわかりやすいでしょう。

肝性脳症は、肝機能が低下して、アルブミンの代謝産物であるアンモニアを代謝・分解できなくなり、そのアンモニアが脳に影響を与える疾患です。

したがって、肝性脳症がみられる場合は、肝硬変はかなり良くない状況と判断できる指標となります。

2=×:浮腫は非代償性肝硬変での栄養モニタリング項目あるため、誤った選択肢です。

肝機能が低下するとアルブミンを合成できなくなり、血中アルブミン濃度が低下します。
血中アルブミン濃度が低下して血漿浸透圧が低下すると、水分は浸透圧により血液から血管外へと移動します。その結果、浮腫や腹水が生じます。

3=○:筋肉量は代償性肝硬変の栄養モニタリング項目であるため、正しい記述です。

肝硬変では肝機能が低下することでアルブミン(たんぱく質)の合成が低下します。
したがって、アルブミンから作られる筋肉量も低下します。

筋肉量の低下は、代償性肝硬変でも非代償性肝硬変でもみられますが、他の選択肢は非代償性肝硬変だけに見られる項目という意味で、「筋肉量の低下」は相対的に最適な選択肢となります。

4=×:ウエスト/ヒップ比は代償性肝硬変ではなく、肥満の栄養モニタリング項目であるため、誤った選択肢です。

内臓脂肪が蓄積するとウエストが太くなるため、ウエスト/ヒップ比は肥満の指標となります。
また、脂肪肝でも脂肪が増加するため、ウエスト/ヒップ比は高くなります。


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