『ナッジ』―本人の意思によらない行動変容法とは?

ナッジは、2017年にノーベル経済学を受賞したリチャード・セイラー教授が提唱した概念で、“ひじで軽くつっつく”ように、強制やインセンティブ(金銭的動機付け)に頼らず、環境要因によって本人にとって望ましい行動を実現させる手法のことです1)

 

リチャード・セイラー (著), キャス・サンスティーン (著), 遠藤 真美 (翻訳)

行動の誘因という意味で『インセンティブ』に似ていますが、インセンティブは、例えば、歩合制のような経済的な報酬に見られるように、“本人の動機”に対して介入する概念です。

一方、ナッジは、例えば、的があるとそこを狙って小便をしてしまうという習性を利用して小便器の汚れを減らすために的を書くといった取り組みのように、本人の理解とは別に行動習慣を利用して目的を達成しようとする概念です。

ナッジが注目されている理由には、人間は不合理な選択をすることに着目した点や、経済的なインセンティブに拠らないため行動変容の費用対効果が高い点があります2)。そのため、経済学だけではなく、医療においても健康診断や検診の受診率向上や健康指導などでの行動変容のために導入されはじめています3)

参考文献
1)リチャード・セイラー『実践 行動経済学』日経BP社,2009年
2)経済産業省『METIナッジユニットを設置しました』
3)厚生労働省『受診率向上施策ハンドブック 明日から使える ナッジ理論』
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