【第30回(2018年)介護福祉士国家試験過去問解答・解説】問題29

Kさん(75歳,女性)は,脳梗塞(cerebral infarction)を発症して, 1か月間入院した後,介護老人保健施設に入所した。Kさんは重度の運動性失語症(motor aphasia)のため,自分から話すことはなかった。
入所して2か月ほど過ぎた頃,Kさんは,少しずつ言葉が話せるようになった。
ある日の午後2時頃,介護福祉職に向かって,「お茶,いや,違う,お,お,違う,ええと」と話し始めたが,伝えたい言葉が見つからないようで,もどかしそうであった。
この時のKさんへの介護福祉職の言葉かけとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 「何を言いたいのでしょうか」
2 「もう1回繰り返してください」
3 「おやつの時間まで待ってください」
4 「何か飲みたいのですね。お水ですか?」
5 「言葉が出てきてよかったですね」

正解:4

【解説】
『失語症』とは、脳の言語領域が傷害を受けることで、言葉が出てこなかったり、読み書きが難しくなる状態をいいます1)。失語は下記のように大別されます。

運動性失語(ブローカ失語):言語は理解しているが、会話や長文を書くなどの言語表現を行うことが困難となる。
感覚性失語(ウェルニッケ失語):言語自体の理解が難しく、コミュニケーション・意思の疎通自体が困難となる。

1=×:失語症であり、自身でも適切な言葉を探している際に、相手を急かしたり、問い詰めるような質問は、相手の自発的な態度や自尊心を損なうため、この選択肢は誤りです。

2=×:本設問の利用者は、言語を理解しているが表現が困難となる『運動性失語(ブローカ失語)』であり、適切な言葉を探しているのに見つからず表現できないことを理解している利用者に対して、繰り返し表現を求めることは自尊心を損なう行為であるため、この選択肢は誤りです。

3=×:本設問の利用者は自発的に何かを伝えようとしているため、利用者の意思を確認せずに一方的に指示することは不適切であるため、この選択肢は誤りです。

4=○:何かを伝えようともどかしくしている利用者に対しては、利用者の意思を確認する姿勢が必要であり、利用者が伝えたいと考える内容を『閉じられた質問』で確認することは適切であるため、この選択肢は正しいです。

5=×:本設問の利用者は何かを伝えたいのに表現できずもどかしくしており、発語があることを褒められたいと考えている訳ではなく不適切な対応であるため、この選択肢は誤りです。

参考文献
1)国立循環器病研究センター:『脳卒中と言葉の障害』

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