【第32回(2018年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問2社会「環境汚染」

32-002 わが国の環境汚染に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)微小粒子状物質は、大気に浮遊する粒径10μm以下の粒子をいう。
(2)二酸化硫黄の主な発生源は、自動車の排気ガスである。
(3)光化学オキシダントの環境基準達成率は、90%を超える。
(4)ジクロロメタンは、主にクリーニング用洗浄剤として使用される。
(5)ベンゼンは、白血病の原因となる。

正解:5

【解説】
1=×:微小粒子状物質とは、大気を浮遊する粒子径2.5μm以下の物質、いわゆるPM2.5のことです。したがって、微小粒子状物質として粒径10μm以下は大きいため、誤った選択肢です。

PM2.5で覚えておきたいのが、PM2.5は喘息や気管支炎などの呼吸器系疾患への影響のほか、肺がんや循環器疾患のリスク要因である点です。

なお、PM2.5のPMとは「particulate matter(粒子状の物質)」の略です。

2=×:二酸化硫黄の主な発生源は、石油や石炭などの化石燃料を燃やす工場の煙であるため、誤った選択肢です。

二酸化硫黄などは硫黄酸化物(SOx)に当たり、自動車の排気ガスに多く含まれる窒素酸化物(NOx)とともに、酸性雨の原因物質となることも合わせて覚えておきましょう。

3=×:光化学オキシダントの環境基準達成率は、ほぼ0%と極めて低い水準であるため、誤った選択肢です。

光化学オキシダントとは、自動車や工場などから排出される大気中の窒素酸化物(NOx)や揮発性有機化合物などが、太陽からの紫外線を受けて光化学反応を起こして作り出される物質の総称です。

この物質で集まって大気がもやっと曇る現象を光化学スモッグといいます。工場が多い地域で問題になったり、警報が発令したりする現象ですね。

環境省の報告によれば、平成30年の光化学オキシダントの環境基準達成率は、0~0.1%だそうです。

4=×:ジクロロメタンは有機溶剤や塗料に使用される物質であり、クリーニング用洗浄剤として使用されないため、誤った選択肢です。

ジクロロメタンはヒトに毒性があり、皮膚や眼の粘膜などに触れると炎症を起こします。

なお、クリーニング用洗浄剤として使用されたことがある有害物質は、ベンゼンやトリクロロエチレンなどです。

5=○:有機溶剤として油性マジック落としやシールはがし等でも使われるベンゼンは、機序は不明ですが白血病の原因となることが知られています。


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