【第32回(2018年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問6社会「研究倫理」

32-006 疫学研究と倫理に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。

(1)研究は、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従う。
(2)研究参加の同意は、研究対象者から資料や生体試料を得る前でなければならない。
(3)研究対象者は、研究参加を一度同意すると撤回できない。
(4)研究対象者の個人情報は、適切に保護されなければならない。
(5)研究者は、継続して研究倫理に関する教育や研修を受けなければならない。

正解:3

【解説】
1=○:研究は「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従って行うため、正しい記述です。

2010年代にはディオバン事件(2013年)やSTAP細胞研究不正事件(2014年)など、研究におけるデータの改ざん・盗用など、研究倫理から逸脱した事件が発生しました。

このような状況を受けて、文部科学省と厚生労働省は平成26(2014)年に「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を作成し2015年4月から施行しています。

同指針は、ヘルシンキ宣言を踏まえ、研究対象となる人間の人権の尊重や、適切な研究を行うための倫理について規定しています。

2=○:研究参加の同意は、研究対象者から資料や生体試料を得る前でなければならないため、正しい記述です。

研究対象者からデータや生体物質を得るためには、事前に同意==インフォームド・コンセントが必要です。

同指針の「第2章-4 研究者の基本的責務」には以下のように記されています。

研究者等は、研究を実施するに当たっては、原則としてあらかじめインフォームド・コンセントを受けなければならない。

3=×:研究対象者は研究参加を一度同意しても撤回できるため、誤った記述です。

ヘルシンキ宣言のインフォームド・コンセントの章には、研究参加者について次のように記されています。

被験者候補は、いつでも不利益を受けることなしに研究参加を拒否する権利または参加の同意を撤回する権利がある

したがって、研究に参加した患者の権利は研究中も尊重されるため、患者(参加者)は研究途中で参加の辞退・中断を申し込むことなどができます

しかし、研究途中で介入群と対照群とを変えるという研究自体を変えるような変更は、研究自体が正確でなくなるため、できません

4=○:研究対象者の個人情報は、適切に保護されなければならないため、正しい記述です。

同指針の「第6章-14 個人情報等に係る基本的責務」には以下のように記されています。

研究者等及び研究機関の長は、個人情報、匿名加工情報及び非識別加工情報の取扱いに関して、この指針の規定のほか、個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法及び地方公共団体において制定される条例等を遵守しなければならない。

日常生活でも個人情報の保護についてはデリケートに対応しているかと思いますが、研究ならば尚更といったところかと思います。

5=○:研究者は、継続して研究倫理に関する教育や研修を受けなければならないため、正しい記述です。

同指針の「第2章-4 研究者の基本的責務」には以下のように記されています。

研究者等は、研究の実施に先立ち、研究に関する倫理並びに当該研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育・研修を受けなければならない。また、研究期間中も適宜継続して、教育・研修を受けなければならない。

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