【第34回(2020年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問39人体「血液疾患」

34-039 血液疾患に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)鉄欠乏性貧血では、総鉄結合能(TIBC)が低下する。
(2)悪性貧血は、内因子の欠如で起こる。
(3)腎性貧血では、エリスロポエチン産生が亢進する。
(4)特発性血小板減少性紫斑病(ITP)では、ビタミンK欠乏がみられる。
(5)血友病では、ハプトグロピンが低下する。

正解:2

【解説】
1=×:鉄欠乏性貧血では不飽和鉄結合能(UIBC)高値となるため、誤った選択肢です。

肝臓で合成されるトランスフェリンは、血液中の鉄と結合して、鉄の運搬・貯蔵を担うたんぱく質です。

鉄はトランスフェリンと結合(飽和)するのですが、血液中にはまだ結合していない鉄とトランスフェリンも存在します。

この両者はまだ結合する余力(能力)があり、この未結合の鉄とトランスフェリンの総量を不飽和鉄結合能(UIBC)といいます。

鉄欠乏性貧血では、血清鉄は低下するものの、未結合のトランスフェリンは増加するため、不飽和鉄結合能(UIBC)は高値となります。

2=〇:悪性貧血は内因子の欠如で起こるため、正しい記述です。

悪性貧血とは巨赤芽球性貧血の一種です。

ビタミンB12と葉酸は、芽球が赤血球に正しく成長するために必要な栄養素です。

したがって、ビタミンB12と葉酸が不足すると、芽球が未成熟のまま巨大化して巨赤芽球となり、赤血球が不足することで貧血を生じます。これが巨赤芽球性貧血です。

巨赤芽球性貧血のうち、ビタミンB12の合成に必要な内因子が不足することで起きる貧血を特に悪性貧血といいます。

3=×:腎性貧血ではエリスロポエチン産生が低下するため、誤った選択肢です。

エリスロポエチンとは腎臓から分泌される造血ホルモンです。

リスロポエチンは骨髄などの造血組織に作用して、赤血球の産生を促進します

腎機能の低下により、エリスロポエチンの分泌が低下することで赤血球の産生が低下する貧血を腎性貧血といいます。

4=×:特発性血小板減少性紫斑病(ITP)では、ビタミンK欠乏がみられる訳ではないため、誤った選択肢です。

ビタミンKは血液凝固に作用する栄養素であり、関連が深い血液疾患は血友病です。

血友病は血液を凝固させる因子が先天的に欠損していることで、出血がとまりにくくなる疾患です。

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)も血液を凝固しにくくなることで内出血が止まらず、紫色の斑点ができる疾患です。

しかし、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は血小板が減少する原因は不明であり、また、臨床症状としてビタミンK欠乏がみられる訳ではありません。

5=×:血友病ではハプトグロピンが低下するとはいえないため、誤った選択肢です。

ハプトグロビンは、ヘモグロビンと結合する血漿たんぱくです。

赤血球が壊れる(溶血する)ことで、赤血球からヘモグロビンが血液中に遊離します。

肝臓はこのヘモグロビンを代謝して、ビリルビンや鉄分を合成する働きがありますが、ヘモグロビンと結合して肝臓へと運ぶのがハプトグロビンです。

溶血が多いほど血液中にヘモグロビンが増加し、そのヘモグロビンと結合して肝臓へ運ぶために、ハプトグロビンが消費されることから、血中ハプトグロビン濃度は低下します。

血友病は血液を凝固させる因子が先天的に欠損していることで、出血がとまりにくくなる出血性疾患であり、貧血ではないため、ハプトグロビンの低値はみられません。

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