【第33回(2019年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問41人体「貧血」

33-041 貧血に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)ビタミンB6欠乏は、巨赤芽球性貧血をきたす。
(2)銅の欠乏は、再生不良性貧血をきたす。
(3)溶血性貧血では、ハプトグロビン高値となる。
(4)腎性貧血では、エリスロポエチン高値となる。
(5)鉄欠乏性貧血では、不飽和鉄結合能(UIBC)高値となる。

正解:5

【解説】
1=×:ビタミンB6欠乏が引き起こすのは、ペラグラ様症状などのため、誤った選択肢です。

巨赤芽球性貧血をきたすのは、ビタミンB12です。

ビタミンB12と葉酸は、芽球が赤血球に正しく成長するために必要な栄養素です。

したがって、ビタミンB12と葉酸が不足すると、芽球が未成熟のまま巨大化して巨赤芽球となり、赤血球が不足することで貧血を生じます。これが巨赤芽球性貧血です。

巨赤芽球性貧血のうち、ビタミンB12の合成に必要な内因子が不足することで起きる貧血を特に悪性貧血といいます。

2=×:銅の欠乏は貧血を引き起こしますが、再生不良性貧血ではないため、誤った選択肢です。

銅は腸管から吸収された後に肝臓へ送られ、たんぱく質と結合してセルロプラスミンとなります。

このセルロプラスミンはヘモグロビン合成に必要な酵素ですので、銅が不足すれば貧血を引き起こす原因の一つとなります。

一方、再生不良性貧血は、何らかの原因で骨髄にある造血幹細胞が産生されず、造血幹細胞をもととする白血球、赤血球、血小板のすべてが減少する疾患です。

したがって、銅不足が再生不良性貧血を引き起こすとはいえません。

3=×:溶血性貧血ではハプトグロビン低値となるため、誤った選択肢です。。
ハプトグロビンは、ヘモグロビンと結合する血漿たんぱくです。

赤血球が壊れる(溶血する)ことで、赤血球からヘモグロビンが血液中に遊離します。

肝臓はこのヘモグロビンを代謝して、ビリルビンや鉄分を合成する働きがありますが、ヘモグロビンと結合して肝臓へと運ぶのがハプトグロビンです。

溶血が多いほど血液中にヘモグロビンが増加し、そのヘモグロビンと結合して肝臓へ運ぶために、ハプトグロビンが消費されることから、血中ハプトグロビン濃度は低下します。

4=×:腎性貧血ではエリスロポエチン低値となるため、誤った選択肢です。

エリスロポエチンとは腎臓から分泌される造血ホルモンです。

エリスロポエチンは骨髄などの造血組織に作用して、赤血球の産生を促進します。

腎機能の低下により、エリスロポエチンの分泌が低下することで赤血球の産生が低下する貧血を腎性貧血といいます。

5=○:鉄欠乏性貧血では不飽和鉄結合能(UIBC)高値となるため、正しい記述です。

肝臓で合成されるトランスフェリンは、血液中の鉄と結合して、鉄の運搬・貯蔵を担うたんぱく質です。

鉄はトランスフェリンと結合(飽和)するのですが、血液中にはまだ結合していない鉄とトランスフェリンも存在します。

この両者はまだ結合する余力(能力)があり、この未結合の鉄とトランスフェリンの総量を不飽和鉄結合能(UIBC)といいます。

鉄欠乏性貧血では、血清鉄は低下するものの、未結合のトランスフェリンは増加するため、不飽和鉄結合能(UIBC)は高値となります。

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