【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問114 臨床「経腸栄養法」

35-114 経腸栄養法が禁忌となる患者である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)頭頚部がん術後
(2)食道裂孔ヘルニア
(3)胃全摘術後
(4)小腸完全閉塞
(5)人工肛門造設後

正解:4

【解説】
経腸栄養法とは、腸管から栄養を吸収させる栄養法で、口から腸へ栄養を送り込むこと(食事)で栄養を摂取する経口栄養法と、チューブをつかって直接腸に栄養を送り込むことで栄養を摂取する経管栄養法があります。

経管栄養法には、鼻からチューブを入れる経鼻栄養法と、経瘻孔法(胃ろう・腸ろう)があります。

(1)×:頭頚部がん術後は、経管栄養法の適応範囲である。
頭頚部がんの手術後には、頸部リンパ節の切除により、神経麻痺やそれに伴う嚥下障害が生じるおそれがあります。したがって、飲み込みにくさがあるため誤嚥性肺炎のリスクは高まりますが、腸管機能は正常ですので、経腸栄養は適応となります。

(2)×:食道裂孔ヘルニアは、経管栄養法の適応範囲である。
食道裂孔ヘルニアとは、食道裂孔から胃の一部があふれ出て、あるべき場所から出てきてしまった状態(ヘルニア)となっている疾患です。
食道は横隔膜を経由して胃に接続していますが、この胃本体がなんらかの原因で横隔膜の外にある食道へと押し出されている状態となります。

胃が押し出されることで胃の構造はやや変化しますが、消化管に閉塞はなく腸管機能が利用可能ですので、経腸栄養は適応となります。

(3)×:胃全摘術後は、経管栄養法の適応範囲である。
胃を全摘出した後は、食道と小腸をつなげる手術を行いますので、胃の喪失による消化機能の低下はみられるものの、腸管機能が利用可能ですので、経腸栄養は適応となります。

(4)○:小腸完全閉塞時は、経管栄養法の使用は禁忌である。
経管栄養法は、腸管が使えない場合の使用は禁忌となっています。

腸管が使えない場合とは、腸管がねじれる腸閉塞(イレウス)といった物理的な疾患をはじめ、汎発性腹膜炎や難治性嘔吐・下痢、腸管虚血などがあります(日本静脈経腸栄養学会「静脈経腸栄養ガイドライン(第3版)」)。

(5)×:人工肛門造設後は、経管栄養法の適応範囲である。
人工肛門(ストーマ)造設は、肛門や膀胱を何らかの理由(主にがん)で切除した際に、小腸や大腸の一部をつかって行う手術です。
したがって、人工肛門造設後も腸管機能は利用可能ですので、経腸栄養は適応となります。

同じテーマの問題

【第34回(2020年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問113臨床「経腸栄養補給法(経鼻栄養)」【第34回(2020年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問113臨床「経腸栄養補給法(経鼻栄養)」【第33回(2019年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問118臨床「経腸栄養補給法」【第33回(2019年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問118臨床「経腸栄養補給法」【第32回(2018年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問118臨床「経腸栄養法」【第32回(2018年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問118臨床「経腸栄養法」
解説内容が良いと思って下さったら、ぜひ下のいいねボタンを押して下さい!いいねを頂けると、解説を書く励みになります。

0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

error: Content is protected !!