32-134 CKD(慢性腎臓病)における成人の栄養管理に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)ステージ1では、カリウムの摂取量を制限する。
(2)ステージ2では、たんぱく質の摂取量を制限する。
(3)ステージ3では、食塩摂取量を7g/日とする。
(4)ステージ4では、エネルギー摂取量を25~35kcal/kg 標準体重/日とする。
(5)ステージ5では、たんぱく質摂取量を0.6g/kg標準体重/日未満とする。
正解:4
【解説】
(1)×:ステージ1では、カリウムの摂取量を制限しない。
通常、食事で摂取したカリウムは糸球体で濾過されて尿中に排泄されますが、CKDでは糸球体濾過機能が低下するため、カリウムの排泄が低下して、高カリウム血症を生じます。
カリウムは心臓の興奮伝導にかかわるため、高カリウム血症は不整脈のリスクを高めます。
したがって、CKDではステージが進みカリウム排泄能が低下するにつれて、カリウム摂取量が制限されますが、まだ腎機能の低下が軽いステージ1~3a(G1~G3a)では、カリウム摂取の制限は推奨されません。
(2)×:ステージ2では、たんぱく質を過剰に摂取しないようにする。
CKDステージ1~2(G1~G2)においては、たんぱく質は腎負担になるものの、たんぱく質不足やエネルギー不足によって体たんぱくの異化が亢進するため、たんぱく質は過剰な摂取をしないとされています。
(3)×:ステージ3では、食塩摂取量を3g以上6g未満/日とする。
食塩は循環血液量を増やして高血圧を招き、高血圧は糸球体への負担を高めるため、CKDステージ1~5(G1~G5)においては、食塩摂取量は3g以上6g未満/日が推奨されています。
(4)○:ステージ4では、エネルギー摂取量を25~35kcal/kg 標準体重/日とする。
CKDでは、たんぱく質を制限するものの、たんぱく質不足による体たんぱくの異化亢進のおそれがあるため、エネルギー摂取量の制限を目的としていません。
したがって、CKDステージのG1~5においては、エネルギー摂取量を25~35kcal/kg 標準体重/日と標準程度にすることが推奨されています。
(5)×:ステージ5では、たんぱく質摂取量を0.6~0.8g/kg標準体重/日未満とする。
CKDでは、腎臓の糸球体での濾過の負担を減らすために、たんぱく質の摂取を制限します。
腎機能が本格的に低下したといえるeGFR60mL/分/1.73m2未満となったステージ3(G3a)より、たんぱく質摂取量の制限を行い、0.8~1.0g/kg 標準体重/日とし、ステージ3~5(G3a~G5)では、たんぱく質摂取量を、0.6~0.8g/kg 標準体重/日とします。
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