【第30回(2018年)介護福祉士国家試験過去問解答・解説】問題1

1960年代後半からアメリカで展開した自立生活運動に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 障害者自身の選択による自己決定の尊重を主張している。
2 障害者の自立生活は,施設や病院で実現されるとしている。
3 「ゆりかごから墓場まで」の実現に向けた制度設計を目指している。
4 障害者が機能回復を図ることを「自立」としている。
5 介護者を生活の主体者として捉えている。

正解:1

【解説】
自立生活運動』とは、1960年代後半、重度身体障害を持つエド・ロバーツ氏がアメリカのカリフォルニア大学バークレー校に入学するにあたり、大学のバリアフリー化や障害者支援プログラムの開発などを始めたことがきっかけで起きた運動です。
彼らの運動で提唱された3つの原則は下記のようなものでした。

①障害者のニーズとその満たし方を最もよく知るものは障害者自身である
②障害者のニーズは、各種多様なサービスを提供する総合的プログラムによって、最も効果的に満たされる
③障害者はできるだけ地域社会に統合されるべきである

つまり、『自立生活運動』とは、障害者である自分のことを一番理解しているのは自分であり、どこで生活し、どんなサービスを使う・使わないかなど、自分の生活について障害者自分自身で意思決定(自己決定)する権利を訴えた運動です。

1=○:正しい記述です。
2=×:障害者の自立生活の場は、病院や施設に限りません。むしろ、病院や施設以外の地域にその場があるとされます。
3=×:『ゆりかごから墓場まで』とは、第二次世界大戦後のイギリスにおける社会福祉政策のスローガンです。
4=×:障害者の機能回復・治癒という医療的な意味での“自立”ではなく、自己決定できることを『自立』としたのです。
5=×:生活の主体者は、介護者ではなく、被介護者である障害者自身です。

0

1 COMMENT

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

error: Content is protected !!