【第30回(2018年)介護福祉士国家試験過去問解答・解説】問題33

30-033 介護業務の事故報告に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 口頭での報告は,結論を述べてから事故に至る経過を説明する。
2 事故報告書は,管理者以外は閲覧できないように保管する。
3 軽微な事故の場合は,後日報告する。
4 介護福祉職としての判断を除外して報告する。
5 記録した内容は,口頭での報告が不要である。

正解:1

【解説】
介護保険を利用する各サービス事業所は、介護サービス提供時に起きた事故について、厚生労働省令により、報告する義務があります1)

例:指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準

(事故発生の防止及び発生時の対応)
第三十五条 指定介護老人福祉施設は、事故の発生又はその再発を防止するため、次の各号に定める措置を講じなければならない。
一 事故が発生した場合の対応、次号に規定する報告の方法等が記載された事故発生の防止のための指針を整備すること。
二 事故が発生した場合又はそれに至る危険性がある事態が生じた場合に、当該事実が報告され、その分析を通じた改善策を従業者に周知徹底する体制を整備すること。
三 事故発生の防止のための委員会及び従業者に対する研修を定期的に行うこと。
2 指定介護老人福祉施設は、入所者に対する指定介護福祉施設サービスの提供により事故が発生した場合は、速やかに市町村、入所者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない
3 指定介護老人福祉施設は、前項の事故の状況及び事故に際して採った処置について記録しなければならない。
4 指定介護老人福祉施設は、入所者に対する指定介護福祉施設サービスの提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならない。

また、この省令を根拠に、介護事業所を管轄する各市町村により『介護保険事業者における事故発生時の報告取扱い要領』(事故報告取扱い要領)、いわば事故報告時の手順が定められています。

1=○:口頭での報告においては、最初に結論を述べることが有効とされており、この選択肢は正しいです。

2=×:事故報告書は、介護にあたるすべての人に共有してこそ再発防止に役立ちます。管理者以外も閲覧できるようにするため、この選択肢は誤りです。なお、この事故報告書は厚生労働省による雛形があります。

3=×:事故報告取扱い要領が定められた理由として、“事故発生時に報告がなされずに、利用者などから苦情として事故の発生が判明することが多くあった”2)ことが背景の一つとなっています。事故が軽微であるかどうかは判断が難しく、利用者の家族とのトラブルの原因の一つともなります。
また、軽微と思われる事故が大きな事故につながることもあるため、後日の報告ではなく、速やかに市町村や家族に報告する必要があるので、この選択肢は誤りです。

4=×:事故報告においては客観的な事実の記載がまずは第一ですが、事故再発防止のため、事故発生要因の分析も必要となり、専門職である介護福祉士としての見解・判断も報告すべきであるため、この選択肢は誤りです。

5=×:事故報告においては記録や報告書の提出だけでなく、口頭での補足報告が望ましいため、この選択肢は誤りです。

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