【第34回(2020年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問122臨床「脂質異常症(高トリグリセリド血症)の栄養管理」

34-122 高トリグリセリド血症の栄養管理に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)炭水化物の摂取エネルギー比率を70%E以上とする。
(2)果糖を多く含む加工食品の摂取を増やす。
(3)n-3系脂肪酸の摂取を増やす。
(4)アルコールの摂取量を50 g/日以下とする。
(5)高カイロミクロン血症では、脂質の摂取エネルギー比率を20%E以上とする。

正解:3

【解説】
脂質異常症の一つである高トリグリセリド血症についての出題です。

1=×:高トリグリセリド血症を含む脂質異常症では、炭水化物の摂取エネルギー比率を50~60%Eとするため、誤った選択肢です。

炭水化物70%Eは制限しすぎです。通常より5%E減らして、食物繊維を多く摂取します。

2=×:高トリグリセリド血症では果糖を多く含む加工食品の摂取を控えるため、誤った選択肢です。

果糖(フルクトース)はブドウ糖(グルコース)と同じように単糖類であり、吸収されやすくトリグリセリドに変換されやすいためです。

3=○:高トリグリセリド血症を含む脂質異常症では、魚油などに含まれるn-3系脂肪酸の摂取が推奨されているため、正しい記述です。

不飽和脂肪酸であるn-3系脂肪酸は動脈硬化を抑制することが知られています。

4=×:高トリグリセリド血症を含む脂質異常症では、アルコールの摂取量を25 g/日以下とするため、誤った選択肢です。

アルコールの摂取量50 g/日以下は多いです。
健康日本21(第二次)では、生活習慣病のリスクを高める飲酒量を、純アルコール換算で男性40 g/日以上、女性20 g/日以上としています。

また、日本動脈硬化学会では、脂質異常症におけるアルコール量を25 g/日以下としています。

5=×:高カイロミクロン血症では、脂質の摂取エネルギー比率を15%E以下とするため、誤った選択肢です。

カイロミクロンの約90%は中性脂肪(トリグリセリド)です。
したがって、高カイロミクロン血症では厳密な脂質制限が必要となります。
また、脂質も中鎖脂肪酸を積極的に使います。

参考文献
1)日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症ガイド2018年版』

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