【第34回(2020年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問123臨床「胃食道逆流症の栄養管理」

34-123 胃食道逆流症の栄養管理に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)1回当たりの食事量を多くする。
(2)脂質の摂取エネルギー比率を、35%E以上とする。
(3)夕食後は、1時間以内に就寝する。
(4)就寝は、仰臥位を勧める。
(5)胃瘻では、半固形タイプの栄養剤を用いる。

正解:5

【解説】
胃食道逆流症(GERD)は、胃液などの消化液が食道内に逆流し、食道粘膜を傷害する疾患です。
下部食道括約筋部(LES)圧の低下や食道裂孔ヘルニアなどが原因となります。

胃食道逆流症(GERD)では、LES圧を低下させるような食事や、胃液が逆流しないような食事が重要です。

(1)×:1回当たりの食事量を少なくする。
1回当たりの食事量が多いと消化物が逆流しやすいため、胃食道逆流症(GERD)では、少量頻回食が薦められます。

(2)×:脂質の摂取エネルギー比率を、20~25%Eとする。
脂質の摂取は、脂質の消化酵素であるリパーゼを分泌する胆嚢を刺激するコレシストキニンの分泌を促進しますが、コレシストキニンはLES圧を低下させることが知られており、GERDでは高脂肪食を控えることが望ましいとされています。

したがって、胃食道逆流症(GERD)では35%Eといった高脂肪食ではなく、通常通り脂質は20~25%Eとするのがよいとされます。

脂質のほか、高浸透圧な食品、酸味の強い果物、カフェイン、チョコレート、炭酸飲料などの刺激物の摂取も控えることが望ましいです。

(3)×:夕食後は、十分に消化した後に就寝する。
胃食道逆流症(GERD)では、横になることで胃などの消化管が水平となり、消化物が逆流しやすくなるため、食後すぐに仰臥位(仰向け)にならないようにすることが重要です。

目安として、食後3時間以内は仰臥位となるのは避けるとされています。

(4)×:就寝は、セミファーラー位を勧める。
胃食道逆流症(GERD)では、横になると消化物が逆流しやすくなるため、伏臥位(うつぶせ)や仰臥位(あおむけ)での就寝は推奨されません。特に仰臥位は、逆流により誤嚥性肺炎をまねくリスクがあります。

したがって、胃食道逆流症(GERD)では、上体を15~30度起こしたセミファーラー位が推奨されます。

(5)○:胃瘻では、半固形タイプの栄養剤を用いる。
胃食道逆流症(GERD)では、食道にチューブを常時留置する経鼻栄養は適応とならず、経口栄養と胃ろう・腸ろうが適応となります。

経腸栄養剤には成分栄養剤などのさまざまな種類がありますが、半固形タイプでは粘度があるため、逆流時に誤嚥性肺炎を防ぐことができるとされています。

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