【第32回(2018年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問127臨床「胃食道逆流症の栄養管理」

32-127 胃食道逆流症の栄養管理に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)高脂肪食の摂取を勧める。
(2)かんきつ類の摂取を勧める。
(3)分割食を勧める。
(4)コルセットの着用を勧める。
(5)食後すぐの仰臥位を勧める。

正解:3

【解説】
胃食道逆流症(GERD)は、胃液などの消化液が食道内に逆流し、食道粘膜を傷害する疾患です。
下部食道括約筋部(LES)圧の低下や食道裂孔ヘルニアなどが原因となります。

胃食道逆流症(GERD)では、LES圧を低下させるような食事や、胃液が逆流しないような食事が重要です。

(1)×:高脂肪食の摂取を控える。
脂質の摂取は、脂質の消化酵素であるリパーゼを分泌する胆嚢を刺激するコレシストキニンの分泌を促進しますが、コレシストキニンはLES圧を低下させることが知られており、GERDでは高脂肪食を控えることが望ましいとされています。

したがって、胃食道逆流症(GERD)では35%Eといった高脂肪食ではなく、通常通り脂質は20~25%Eとするのがよいとされます。

(2)×:かんきつ類の摂取を控える。
胃食道逆流症(GERD)では、脂質のほか、高浸透圧な食品、酸味の強い果物、カフェイン、チョコレート、炭酸飲料などの刺激物の摂取も控えることが望ましいです。

(3)○:分割食を勧める。
1回当たりの食事量が多いと消化物が逆流しやすいため、胃食道逆流症(GERD)では、少量頻回食が薦められます。

(4)×:コルセットの着用を控える。
コルセットは腹部を圧迫して消化管から消化物を逆流させるおそれがあるため、胃食道逆流症(GERD)では、腹部を圧迫するようなコルセットや消化管を圧迫するようなものの着用は控える必要があります。

(5)×:食後すぐの仰臥位を控える。
胃食道逆流症(GERD)では、横になることで胃などの消化管が水平となり、消化物が逆流しやすくなるため、食後すぐに仰臥位(仰向け)にならないようにすることが重要です。

目安として、食後3時間以内は仰臥位となるのは避けるとされています。

また、仰臥位では、消化物の逆流により誤嚥性肺炎をまねくリスクがあります。

したがって、胃食道逆流症(GERD)では、上体を15~30度起こしたセミファーラー位が推奨されます。

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