【第32回(2018年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問123臨床「肥満症の栄養管理」

32-123 肥満症に関する記述である。正しいのはどれか。2つ選べ。

(1)高度肥満症は、BMI30kg/m2 以上をいう。
(2)高度肥満症の治療には、外科療法がある。
(3)除脂肪体重の減少を目指す。
(4)超低エネルギー食(VLCD)は、600kcal/日以下である。
(5)VLCDによる治療では、乳酸アシドーシスを生じやすい。

正解:2・4

【解説】
(1)×:高度肥満症は、BMI 35kg/m2 以上をいう。

(2)○:高度肥満症の治療には、外科療法がある。
高度肥満症(BMI35以上)では、エネルギー摂取量を制限するため、胃を切除することで胃を小さくするスリーブ胃切除術が適応される場合があります。

(3)×:肥満症では、体重の減少を目指す。
除脂肪体重(LBM)とは、全体重から脂肪による体重を除いた体重であり、骨格・筋肉・内臓・水分による体重をいいます。

肥満症はこれらの骨格・筋肉・内臓・水分の増加ではなく、脂肪の増加による疾患ですので、脂肪を減らして体重を減らすのが治療・栄養管理の基本方針です。

(4)○:超低エネルギー食(VLCD)は、600kcal/日以下である。
高度肥満症(BMI35以上)には、600kcal/日以下となる超低エネルギー食(VLCD)療法が適応されます。

(5)×:VLCDによる治療では、ケトアシドーシスを生じやすい。
乳酸アシドーシスとは、乳酸が増えすぎて身体が酸性に傾いている状態をいいます。

乳酸は嫌気下での筋肉において解糖系にてグルコースが分解されて産生されます。
平たく言えば、強度の高い運動で酸素不足となると、筋肉に蓄積するのが乳酸です。

肥満症治療では炭水化物の摂取を制限しますので、グルコース由来の乳酸の産生は低下します。
したがって、乳酸アシドーシスは生じにくいです。

一方、炭水化物=グルコース制限下では、エネルギー源として脂質が活用されるので、脂質の代謝産物であるケトン体が増加します。

ケトン体とは、アセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸の総称であり酸性の物質ですので、ケトン体が増加すればケトアシドーシスを生じます。

インスリン不足となる糖尿病でも、グルコースの代謝が低下して脂質をエネルギー源とするため、ケトアシドーシスを生じやすくなります

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