【第33回(2019年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問135臨床「COPD患者の栄養管理」

33-135 進行した慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の栄養アセスメントの結果である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)体重の増加
(2)安静時エネルギー消費量の増加
(3)%1秒量の上昇
(4)動脈血酸素分圧(PaO2)の上昇
(5)血清トランスサイレチン値の上昇

正解:2

【解説】
1=×:COPDでは体重が減少するため、誤った選択肢です。

COPDでは有害物質により肺に炎症が起きており、気管も痰などで閉塞して呼吸困難となるため、健康な人よりもエネルギーを消費します。
そのため、COPDでは体重減少がみられます。

2=○:COPDでは安静時エネルギー消費量が増加するため、正しい記述です。

理由は選択肢(1)の通りです。

安静時エネルギー消費量が増加するものの、呼吸困難により1食当たりの摂取できるエネルギー量が少なくなるため、COPDではg当たりのエネルギー量が高い脂質が多い食事が有効となります。

3=×:COPDでは%1秒量が低下するため、誤った選択肢です。

努力性肺活量(FCV)のうちの最初の1秒間に吐き出された空気の量を1秒量(FEV1.0)といい、努力性肺活量に対する1秒量の割合を1秒率(FEV1.0/FVC)といいます。

%1秒量(%FEV1)とは性別・身長・年齢から予測される1秒量に対する実測した1秒量の比率のことです。す。

COPDは肺機能が低下することで吐き出された空気の量が減ることから、1秒率などから呼吸器に機能低下がないかを判断します。

したがって、COPDでは%1秒量が低下し、%1秒量が70%未満でCOPDと診断されます。

4=×:COPDでは動脈血酸素分圧が低下するため、誤った選択肢です。

動脈血酸素分圧とは、動脈血中の酸素の量のことです。

COPDでは、肺において酸素と二酸化炭素とを交換する機能が低下するため、動脈血中の酸素濃度が低下します。

5=×:COPDでは血清トランスサイレチン値が低下するため、誤った選択肢です。

トランスサイレチンとはプレアルブミンのことで、半減期が2日と短いため、レチノール結合たんぱくやトランスフェリンと並んで動的栄養指標として活用されています。

炎症によりたんぱく質が失われるため、トランスサイレチンは半減期が短いため、たんぱく質の低下を鋭敏に反映できる指標として、COPDや肝機能の評価に用いられます。

参考文献
1)日本呼吸器学会編「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン(第5版)」

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