【第33回(2019年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問139臨床「周術期の栄養管理」

33-139 消化器手術とその合併症の組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)食道切除――――脂肪吸収障害
(2)胃全摘――――巨赤芽球性貧血
(3)胆嚢摘出――――低血糖
(4)膵臓切除――――嚥下障害
(5)直腸切除――――ダンピング症候群

正解:2

【解説】
周術期の問題です。
本問題は周術期管理というより、各臓器の働きについての知識問題となっています。

1=×食道切除で最も大きな合併症は縫合不全であるため、誤った選択肢です。

食道自体には消化や吸収の機能はありません

なお、脂肪が吸収されるのは小腸です。

2=○:胃全摘により巨赤芽球性貧血が引き起こされるため、正しい選択肢です。

巨赤芽球性貧血は、正常な赤血球が形成できず、異常に巨大化した赤芽球となり、赤血球としての役割を果たせないために起きる貧血です。

正常な赤血球となるためには、葉酸とビタミンB12が必要ですが、ビタミンB12の吸収のためには、胃から分泌されるキャッスル因子を必要とします

したがって、胃全摘ではキャッスル因子不足=ビタミンB12不足=巨赤芽球性貧血となります。

3=×:胆嚢摘出により低血糖が引き起こされるとはいえないため、誤った選択肢です。

胆嚢は胆汁を貯蔵する臓器で、胆汁は脂肪の消化を助ける働きがありますが、血糖に対しての胆嚢の働きは明示的ではなありません。

消化されない脂肪が増加すればインスリンの抵抗性が高まり、むしろ高血糖となります。

4=×:膵臓切除により嚥下障害が引き起こされるとはいえないため、誤った選択肢です。

膵臓がなくなれば、膵液の分泌はなくなりますし、なによりインスリンの分泌がなくなるため、糖尿病の発症リスクはとても高くなりますが、膵臓がないことで咀嚼・嚥下が難しくなるという因果関係は証明されていません。

5=×:直腸切除によりダンピング症候群が引き起こされるとはいえないため、誤った選択肢です。

ダンピング症候群とは、胃がなくなることで、食べ物がよく消化されないまま高スピードで腸に送られてしまうことで発生する各症状をいいます。

ダンピングとは、ダンプカーが土砂や荷物などを一気に投げ下ろすことです。

なお、直腸切除による合併症としては、人工肛門の造設などがあります。


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