【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問23 人体「炎症と腫瘍」

35-023 炎症と腫瘍に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)急性炎症では、血管透過性は低下する。
(2)慢性炎症でみられる浸潤細胞は、主に好中球である。
(3)肉芽組織は、組織の修復過程で形成される。
(4)良性腫瘍は、悪性腫瘍と比べて細胞の分化度が低い。
(5)肉腫は、上皮性の悪性腫瘍である。

正解:3

【解説】
(1)×:急性炎症では、血管透過性は亢進する。
炎症によって血管が損傷して穴があくため、血管の透過性(通りやすさ)は亢進します。浮腫の原因の1つですね。

(2)×:慢性炎症でみられる浸潤細胞は、主にリンパ球である。
浸潤細胞とは、広まっていく細胞のことです。

炎症には急性炎症と慢性炎症があります。

急性炎症は、炎症の原因物質が何か不明ですので、自然免疫による反応となるため、好中球が中心となります。
一方、慢性炎症は、何度か繰り返されている炎症ですので、獲得免疫による反応となるため、リンパ球が中心となります。

(3)○:肉芽組織は、組織の修復過程で形成される。

(4)×:良性腫瘍は、悪性腫瘍と比べて細胞の分化度が高い。
分化度とは、細胞がどれだけ正常な細胞に分化しているかの度合いです。

良性腫瘍は、ほとんど正常な細胞へと分化しているため、分化度は高くなります。
一方、悪性腫瘍は、正常な細胞へと分化することが少なく、異型化してしまうため、分化度は低くなります。

(5)×:肉腫は、非上皮性の悪性腫瘍である。
腫瘍(がん)には、上皮性の腫瘍と、非上皮性の腫瘍があります。

上皮性とは、皮膚の表面、消化管や気道などの内側、臓器などを覆う細胞のことをいいます。したがって、上皮性の腫瘍とは、表層部にある腫瘍という意味です。

一方、非上皮性とは、上皮ではない部位、具体的には骨や筋肉、血管などの細胞のことをいいます。したがって、非上皮性の腫瘍とは、内側にある腫瘍という意味です。

この非上皮性の腫瘍を肉腫といい、骨肉腫、横紋筋肉腫、血管肉腫などがあります。

また、上皮性がんに対して、浸潤性がんというのもあります。

上皮性がんはある特定部位の表面に固まって存在している腫瘍ですが、浸潤がんは特定部位の周囲に散らばったり染みたりした形で存在している腫瘍です。

ちなみに、上皮性の腫瘍(≒手術で切除できる腫瘍)を「癌」、浸潤性の腫瘍(≒手術で切除できない腫瘍)を「がん」などと表記をわけています。


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