【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問78 基礎「鉄」

35-078 鉄に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)鉄は、汗に含まれる。
(2)鉄の吸収率は、ヘム鉄よりも非ヘム鉄の方が高い。
(3)非ヘム鉄は、3価鉄として吸収される。
(4)貯蔵鉄は、トランスフェリンと結合している。
(5)ヘモクロマトーシスは、鉄の欠乏症である。

正解:1

【解説】
(1)○:鉄は、汗に含まれる。
汗には水分や電解質だけでなく鉄も含まれるため、発汗が増えると鉄欠乏性貧血の誘因となります。

(2)×:鉄の吸収率は、ヘム鉄よりも非ヘム鉄の方が低い。
鉄は赤血球に含まれるヘモグロビンの構成要素で、酸素と結合して酸素を全身に運びます。

食べ物に含まれる鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、ヘムは肉や魚などの動物性食品に多く含まれ、非ヘム鉄は野菜などの植物性食品に多く含まれます。

非ヘム鉄は、胃の粘膜を傷害し、吸収の際にも食物繊維やタンニンから吸収阻害を受けるため、吸収されにくい性質があります。

一方、ヘム鉄は鉄イオンがポルフィリン環に囲まれているため、胃の粘膜を傷害しにくく、食物繊維やタンニンから吸収阻害も受けにくいため、非ヘム鉄よりも吸収されやすい性質があります。

(3)×:非ヘム鉄は、2価鉄として吸収される。
食品に含まれる鉄は3価鉄(Fe3+;電子が3個余っている鉄)として存在していますが、3価鉄はアスコルビン酸などの還元物質の影響を受けて2価鉄となってはじめて、小腸にある2価金属輸送担体と結合して吸収されます

(4)×:貯蔵鉄は、フェリチンと結合している。
血液で運ばれた鉄は、細胞内ではたんぱく質と結合してフェリチンとなって貯蔵されます。
簡単に言えば、フェリチンは鉄を細胞内に貯蔵するときの形態です。

一方、トランスフェリンは、2価鉄として吸収された後に再び酸化された3価鉄と結合して、血液にのって鉄を運びます。
簡単に言えば、トランスフェリンは、鉄を体内で運ぶ形態です。

(5)×:ヘモクロマトーシスは、鉄の過剰症である。
ヘモクロマトーシスは、主に遺伝が原因で、鉄を過剰に吸収してしまい、体内に過剰に鉄が蓄積する疾患です。

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