【第35回(2021年)管理栄養士国家試験過去問解答・解説】問94 応用「高齢期の生理的特徴」

35-094 成人期と比較した高齢期の生理的特徴に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)塩味の閾値は、低下する。
(2)食後の筋たんぱく質合成量は、低下する。
(3)食品中のビタミンB12吸収率は、上昇する。
(4)腸管からのカルシウム吸収率は、上昇する。
(5)腎血流量は、増加する。

正解:2

【解説】
(1)×:高齢期では塩味の閾値は、上昇する。
閾値とは、人間の感覚器が感知できる最小限度の刺激量を示す値のことです。
高齢者は加齢により感覚が鈍化するため、感知できるための刺激量を必要とし、閾値が上昇します。

なお、高齢者では呈味のうち、甘味や酸味よりも塩味の識別能力が低下することが知られています。

(2)○:高齢期では食後の筋たんぱく質合成量は、低下する。
高齢者は成人よりも筋たんぱく質合成能が低下することが知られています。
これがサルコペニアの原因の一つです。

高齢者におけるたんぱく質の消化・吸収は成人と同程度であることが報告されているため、詳細な機序はわかっていません。

(3)×:高齢期では食品中のビタミンB12吸収率は、低下する。
高齢者は加齢により腸管における吸収機能が低下します。
また、ビタミンB12の吸収にかかわるキャッスル内因子の分泌も低下するため、ビタミンB12の吸収率は低下します。

(4)×:高齢期では腸管からのカルシウム吸収率は、低下する。
高齢者は加齢により腸管における吸収機能が低下します。

(5)×:高齢期では腎血流量は、減少する。
高齢者は加齢により腎血管の変成を受け、血管が狭窄することが知られています。
血管狭窄に伴い腎血流量は減少し、30歳時点での腎血流量を100%とすると、80歳時には約50%にまで減少するといわれています。


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